大阪府内のある町のゴミステーションに回収されなかったゴミ袋があった。猫ボランティアのAさんが偶然発見して中をのぞくと、4匹の子猫が入っていた。まだへその緒がついていて、生後間もない子猫だった。
回収されなかったゴミ袋
ボランティアをしているAさんは、ひと月前に引っ越していた。前に住んでいた家も同じ町内だったのだが、旧宅の近くに住むおばあさんに会いにいき、立ち話をしていた。2020年4月3日午前11時頃、天気のいい日だった。
その日は月に2回ある資源ゴミの回収日だった。おばあさんと立ち話をしていたら、ゴミの回収が終わったあとなのに、ゴミステーションに緑色のビニール袋が残っていた。不審に思って中をのぞくと、紙袋が見えて、何か黒いふさふさしたラビットファーのマフラーかぬいぐるみのようなものが入っていた。しかし、次の瞬間、Aさんは、それが子猫だということに気が付いて慌てた。
「えっ?待って!猫?子猫?誰かがここに捨てた!最悪!なんで?全部で4匹いる。息はしている!」
触るとか細い声で「ミャー」と鳴いた。
「生きている!抱き上げることは怖くてできない。えっ!でもどうしよう。そうだ!電話しよう!」
Aさんは、あたふたしながら、団体の代表に電話し、ひとまず保護猫ルームに子猫たちを連れて行くことになった。
どういうつもり?
Aさんは、「どうしよう。なんで私が見つけたんやろう。なんで捨てたん?ゴミとして出して殺すつもりやったん?普通ゴミの日なら中身を見ないから、確実にゴミと一緒に捨てられて死んでいた。もしかしたら、子猫をみつけてほしくて、わざと資源ゴミの日に捨てたのか…」とあれこれ想像した。
母猫と離れて何時間経っているのか。お腹が空いているかもしれない。とにかく早くしないと。自宅までの数分間、足早に色んなことを考えながら帰宅し、子猫は風邪をひくと命取りになるので、電子レンジで温めるタイプの湯たんぽを用意した。
ピクニックの時にお弁当を入れるような手提げのカゴにダンボールと新聞紙を破って入れ、温めた湯たんぽを入れ、片手のひらにすっぽり収まるサイズの小さい子猫を1匹ずつ手に取り、冷たくなっていないか確認しながら、そこに置いた。子猫たちはミャーミャー鳴いた。「大丈夫。4匹とも生きている」と確認し、車で20分ほどのところにある団体の保護猫ルームへ連れて行った。
たくましく成長した小さな命
保護猫ルームでは、ボランティアの先輩でもあるオーナー、代表、ボランティア仲間が、いまかいまかと子猫たちの到着を待っていた。まずは、体重測定と性別を確認して名前をつけた。
キジシロのイチくんは136g、三毛猫のみーちゃんは135g、キジ猫のいずみちゃんは128g、サビ猫のまだらちゃんは122gだった。まだへその緒がついていたので、生後5日ほどだった。誕生日は、2020年3月30日にした。
ミルクの用意をして早速飲ませてみると、少量ではあるが、4匹とも哺乳瓶から飲んだ。Aさんは、その姿を見て少し安心した。滋賀県からボランティア仲間で、離乳が済んでいない子猫を育てるミルクボランティアの達人が駆けつけてくれた。2、3時間おきにミルクを与え、排泄の世話をしてくれることになった。
その後、4匹の子猫たちは、それぞれ里親が見つかり、幸せになったという。ボランティアたちの協力を得て、なんとか子猫たちの命を繋ぐことができたが、ゴミと一緒に子猫を置き去りにするのは行為は到底許すことはできない。