子どもが関わるコミュニティ(幼稚園、保育園、学校、習い事など)では、両親が揃っていることを前提として話が進んでいることが多くあります。シングルマザーである私も、日常的に痛感させられることがあります。
シングルマザーは隠すことじゃない
私の友人はオーストラリア、フランスと海外で妊娠・出産・子育てをしています。友人とはよく連絡を取り、子育てについての情報交換やお互いの国の近況報告などをしています。その中で一番驚いたのが、「いままで住んできた国では両親が揃っていることを前提に話を進めることがない」という話でした。日本では暗黙の了解かのように、両親が揃っていることを前提に話が進んでいきます。そのため、シングルマザーであることを公言していない人もいるのではないでしょうか。
友人の話によると、両親が揃っていることを前提に話をしないので、友人同士やママ友同士で話していても、話の流れの中で「うちは1人だから」「わたしシングルマザーなのよ」といった会話があるそうです。また、両親が揃って生活していることも前提としていないので、学校などからの書類には父親・母親それぞれが署名をするところがあるそうです。日本の場合は家庭での署名という形になりますが、それも日本にはない習慣だなと思いました。どの話もいまの日本ではなかなか想像することができないことだなと思いながら聞いていました。
場面にもよりますが日本では、言いにくい家庭の事情を咄嗟に隠してしまうか、受け流してしまうことがあるような気がしました。最近では日本でもシングルマザーが増え、偏見などは少なくなってきたのかもしれません。しかし、それでもまだシングルマザーに対して偏見を持っていたり、普通の家庭ではないというレッテルを貼る人もいます。シングルマザーであることが、なにかいけないことのように話す人もいます。日本においての習慣などがそうさせているのかもしれません。
パパはパパ、ママはママ
この日本と諸外国の違いの一つに、夫婦関係の違いがあるといえます。日本では子どもがいるということは、結婚していることが前提となっていますが、友人の暮らしているフランスなどではそうではありません。例えばフランスでは、子どもの60%が非嫡出子です。出産=結婚ではありません。それでも、父親・母親とは会い、それぞれとの時間を持つので子どもからしても「自分には母親(または父親)しかいない」という気持ちにはなりません。
国の制度の違いがそうさせているのかもしれませんが、2017年の出生率を比較すると人口1000人に対して、日本は7.5%、フランスは11.5%と大きな差があります。フランスは非婚率が日本よりも高いですが、出生率も日本よりも高いという結果になっています。
これはパクス(結婚はしないが各種夫婦同様の待遇が受けられる制度)や共同親権など日本にはない制度がこれを可能とさせています。こういった制度があるから、日本のように両親が揃っていることが当たり前となることもありません。
シングルマザーが伸び伸びと生活できる環境を
すべてがすべてにおいていいというわけではありませんが、このような国ではシングルマザーにとっても生活のしやすい環境があります。日本には日本のよさがありますが、諸外国の制度なども参考にして、シングルマザーや家庭の事情がある人たちの肩身が狭くなることなく、両親が揃っていなくても受け入れられる社会へと整えていくことが、これからの日本にも必要なのではないでしょうか。