「杁本」…この名字、読めますか? 名古屋市付近の人は読めるはず…尾張地方の「方言漢字」が使われています

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「杁本」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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「杁」という漢字は見たことない人が多いと思うが、名古屋市付近に住んでいる方だとごく普通に読めるはずだ。というのも、名古屋市昭和区には「杁中」という地名があり、地下鉄の駅もある。駅名はひらがなで、「いりなか」駅である。

この「杁」という漢字は方言漢字といわれ、愛知県の尾張地方のみで使われている独特の漢字である。愛知県内では杁ケ池公園、二ツ杁など他にも使われているが、愛知県以外では岐阜県に少しある程度という。

丘陵地の多い愛知県では、台地上に雨水をためた溜池をつくり、そこに水門を作って必要に応じて水田や畑に水を供給していた。この水の取り入れ口のことを方言で「いり」といい、尾張地方では「杁」という漢字をあてた。ちなみに、同じ愛知県でも三河地方では「圦」という漢字を使う。「杁本」は、この「いり」の近くに住んでいた人だろう。

「杁本」は愛知県北部の名字で岩倉市に多く、岐阜県可児市にもある。また、愛知県愛西市には「杁江」(いりえ)という名字もある。

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