大副業時代が到来?…コロナ禍で注目される「手に職」の「週末テーラー」

八木 純子 八木 純子

 働き方改革に加え、コロナ禍で経済の先行きも不透明なこともあり、副業を始める人が増えつつある。そんな中、「手に職」をつけたい人や「副業」したい人の間で注目を集めているのが「オーダースーツアカデミー」(大阪市北区)だ。ここではオーダースーツ販売のノウハウと技術を最短10日間で指導。短期間でプロの「テーラー・フィッター」になれるとあって、問い合わせも増えてきているそうだ。

オーダースーツに魅せられて脱サラ

 オーダースーツアカデミーは一般社団法人「LDG」(本部/大阪市北区)が運営する。代表の高木洋平さん(38)は脱サラして、この道へ。大学では情報工学を専攻し、パナソニックに就職。半導体の設計に携わるエンジニアとして勤務していたというから、驚きだ。

 「大学時代からスーツには興味があり、オーダースーツを依頼したことがあります。しかし、思うようなものができあがらず、がっかりでした」

 社会人になり、会社勤めの傍ら「なぜ、オーダーしたにも関わらずしっくりこなかったのかを知りたくて、スーツ作りを教えてくれる職人養成学校を見つけ、勉強することにしたのです」

 当初は趣味程度で始めたスーツ作りにハマり、ついには3年10カ月で会社を退職し、翌月にはオーダースーツの会社をスタートさせた。

 「前職は営業職ではなく、販売のノウハウはありませんでした。最初はとにかく、たくさん人にお会いして、他業種の先輩方からもお話を聞き、学ばせていただきました。また、ラグビーやアメリカンフットボールの選手は体型的に既製品を着ることができず、オーダーせざるを得ないということに気づきました。そこで、スポーツマンを対象にアプローチをしたら、うまくいき、ラグビーチームからは一度に70着という依頼もいただきました」

代理店を増やしたい思いがスクールに繋がった

 起業して5年後には、師匠から縫製工場の経営を任され、快諾したものの、フタを開けてみると「大赤字」だった。この状況を打開するには販売代理店を増やすことが急務と考えたが、当時は勉強もせずにオーダースーツの販売に関わる人もいて「これではダメだ」と思ったとか。

 そこで、販売代理店を増やすにもまずは「人材教育が先」と考え、そのために「培ってきた技術とノウハウを業界のために役立てたい」と、現在のオーダースーツアカデミーをスタートさせた。

10日間で技術が学べる

 オーダースーツアカデミーでは現役のプロの指導のもと「最短10日間でマーケティングや税金面を含め、実践的な基礎応用技術を習得していただきます。短期間でプロのフィッターも夢ではありません」とのこと。副業や独立開業する人を応援するために、卒業生には「仕入れ先情報をはじめ、採寸や接客するスペースがないという方には採寸接客スペースを無料でお貸ししています」と高木さんは話す。

 卒業生の1人に話を聞くと「平日は会社勤務しているサラリーマンです。活動は定時後と週末ですが、好きなことが仕事にできるダブルワークを実現しました。副収入も得られるので、頑張り甲斐がありますね」とのことでした。

 オーダースーツのお店が増える中、「『誰から買うか』が重視されやすい商品です。それだけにスキルを高めてほしいですね。そして、副業が盛んになる中で平日は会社勤務、週末はテーラーで副業する『週末テーラー』という言葉も広めたいと思っています」と高木さんは熱く語ってくれました。

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