たった1匹生き残った子猫、最初はツンツン猫だったが、我が子のように可愛がられて大往生

渡辺 陽 渡辺 陽

中華料理店の座敷の下から親子猫の鳴き声が聞こえてきたが、だんだん鳴き声に力が無くなってきた。なんとかしなければと捕獲機を設置したが、助かったのは子猫1匹だけだった。中華料理店に勤めていた志智さんは、「猫、いらない?」と上司に言われ、飼うことにした。

中華料理店の座敷の下に住み着いた親子猫

兵庫県に住む志智さんは、独身の時、1匹の猫を保護して飼っていた。1996年の秋、勤務していた中華料理店の座敷の下から猫の鳴き声が聞こえてきた。母猫と数匹の子猫がいるようで、安全な場所だと思ったのか、子育てをしているようだった。しかし、だんだん猫の声が小さく、弱くなってきた。

11月、「このまま放っておいては、みんな死んでしまうかもしれない」と思った店の上司は、唐揚げをセットした捕獲機を仕掛けて一晩様子を見た。翌朝、店に行くと1匹だけ子猫が入っていて、母猫と他の兄弟は既に亡くなっていた。上司や志智さんは、もっと早く捕獲機を仕掛けたらよかったと後悔したが、1匹だけでも助けることができてほっとしたという。

男1人と猫1匹の暮らし

志智さんは上司から「猫、いらない?」と言われて、飼うことにした。当時、猫を飼おうと思っていたわけではないが、何か因縁を感じた。

名前は、テレビ番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」のオオカミ犬のエリーにちなんで、エリーちゃんと名付けた。

「小さくて可愛かったのですが、どこかに隠れてしまい、なかなか姿を見せませんでした。仕事の就業時間が不規則なので定時にごはんをあげることができず、置きエサをしていたのですが、帰宅すると無くなっていたので、生きていることは確認できました」

やがてエリーちゃんは志智さんには慣れてきて、男1人と猫1匹の暮らしが12年間続いた。

お空で大好きな肉まん、ほおばっているかな・・・

2008年、志智さんが結婚したので、エリーちゃんにもママができた。ただ、ずっと志智さんと暮らしてきたエリーちゃんは、ママになかなか心を開かず、1年もの間、まったく触れなかったという。

しかし、2010年6月、新しく迎えた保護猫アトムくんが志智さんにべったり甘えるようになったのを機に、エリーちゃんはママに鞍替え。毎晩一緒に寝るようになった。

当時、ブラウン管のテレビだったので、温かいテレビの上で寝るのが大好きだったエリーちゃん。肉まんの皮とツナやおにぎりが大好きで、ママが油断した隙に肉まんにガブッとかじりついたこともあった。

エリーちゃんは23歳で大往生したが、斎場でお別れの時、係の人が「好きなものと一緒に」と言ってくれたので、志智さん夫妻は特選肉まんを棺に入れたそうだ。

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