マー油は「魔油」まさにマジック!元刑事が「桂花ラーメン」を捜査、絶品「太肉」の作り方は?

ラーメン刑事(デカ)取調メモ

小川 泰平 小川 泰平
「桂花ラーメン」の定番「太肉麺」。キャベツに散らされたマー油が味を引き立てる
「桂花ラーメン」の定番「太肉麺」。キャベツに散らされたマー油が味を引き立てる

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は年間500杯以上も平らげるラーメン通として知られ、テレビ番組で「ラーメン刑事」のコーナーを持ち、国際線5社の機内映像では自身の食レポ「ラーメン刑事」が流されている。小川氏が当サイトにお勧めのラーメン店を紹介する。

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 今回は熊本発の名店「桂花(けいか)ラーメン」です。新宿東口駅前店を訪ねました。熊本の本店は1955年(昭和30年)創業で、今年で65年。現在、熊本5店舗、 東京8店舗。東京で初めての豚骨ラーメンです。新宿東口駅前店は1971年のオープン。桂花と言えば「マー油」と「太肉(ターロー)」ですが、基本の麺とスープも含めて総合的にその実態を探るべく「捜査」を進めました。

 麺は熊本の自家製麺工場で一括管理し、スープや具材は各支店で作っているとのこと。まずは麺に関して、本社の中山雅光社長(49)を直撃しました。

 1978年12月から自家製麺となりました。中太のストレート麺(140㌘)。数種類の小麦をブレンドしています。胚芽が多く、色が濃く、歯ごたえのある麺に仕上げています。低加水で加水率は27%-29%(季節により変化)。麺は、慣れないと硬いと感じると思われますが、これが癖になる歯応えの良い麺なのです。

 続いて、門外不出の「マー油」です。「桂花」が「マー油」発祥の店。新宿東口駅前店の店長さんに聞くと「作り方は分からない」とのこと。「マー油」も本社から各支店に送られているということで、中山社長に「マー油」について事情聴取を行いました。

 「1955年(昭和30年)、日本で初めてマー油を作りました。当初は『魔法の油』『魔油』と呼ばれて、『マー油』としてデビューしたものです。豚骨スープと抜群の相性で、桂花の味を引き立てている。今では、マー油を使っているラーメン店もよく見かけますが、『桂花のマー油は桂花だけで、他とは違う』と自信を持っています」

 そう、マー油の語源は「魔法の油」→「魔油」だったのです。黒っぽい色をしていますが、その通り、黒子のように味を引き立てる様は、まさにマジック!そのマー油の作り方を聞くと、中山社長の口は一気に重くなってきました。

 「何を使っているんですか?」と尋ねると、「ラードと、香味野菜です」。私が「それだけではないですよね?もう少し具体的に教えてもらえないですか?」と追及しますと、中山社長は「玉ねぎとニンニクです。それだけ」。私が「本当に?」と突っ込むと、「まぁ、色々と…」。そこで「実際は、あと、どのくらいのものが入っているんですか?」と畳みかけましたが、社長は「う~ん、あと、2つ、2種類入れてます。これ以上は無理です」とのことでした。それでも、企業秘密ギリギリの所まで、社長は答えてくれました。マー油が独特の味を生み出していることは確かです。

 次は、スープについて聞きました。スープは各支店で仕込んでおり、新宿東口駅前店でスープを任されている、店長代行の浅沼さん(40)を取調べました。「ベースは豚骨塩ラーメン。醤油は使っていない。かえしにも醤油は使っていない。かえしは塩ダレです。スープは、豚ガラと鶏ガラ。12時間、煮込んで、12時間寝かします」。豚と鶏の割合を聞くと、浅沼さんは「豚の方が多いですよ」。私が「7・3ぐらいですか?」と尋ねると、浅沼さんは「もっとです」。そこで「8・2ですか?」と追及しますと、「もう勘弁してください。社長に怒られますよ」。私は「えっ、9・1ですか?」。浅沼さんは「そこまではいきませんよ」。「じゃあ、85%・15% ですか?」「これ、書かれるんですよね」…。いずれにしても、豚の割合がかなり高いことは分かりました。

 続いて、太肉です。このターローが抜群に美味いんです。新宿東口駅前店は、スープと同じく、店長代行の浅沼さんが作っています。「豚バラのブロック(6-7キロ)をカットし、水炊きし、醤油、みりん、ニンニク、玉ねぎ、のタレにつける。タレは継ぎ足しで使っています。この太肉、硬くてもダメ、柔らかすぎると形が崩れてダメ、この微妙な塩梅(あんばい)が腕の見せ所と胸を張る浅沼さん。本当に柔らかく、口の中でアッと言う間に溶けてしまいます。

 東京に進出し始めの頃は、豚骨の臭さと、麺の硬さで、残すお客様がたくさんいて、中には一口しか食べずに帰った方もいたようです。そんな、桂花ラーメンですが、今では東京に浸透しました。私は28年前に都内の店で出会い、その後も通っています。今月も3回行きました。熊本の本店にも2回行ったことがあります。そう伝えると、お店の人に驚かれました。お薦めは「太肉麺」(税込1000円)、絶対の味です。

 店舗は熊本と東京だけですが、全国どこでも、桂花の味はクール便で味わえます。「桂花店舗直送便」で検索してみて下さい。

【取調メモ】
店 名・「桂花ラーメン」新宿東口駅前店
所在地・新宿区新宿3丁目25-6
最寄駅・新宿駅東口 徒歩5分
定休日・年中無休
営業時間・月-木曜11時-23時30分、金&土曜11時-25時、日曜11時-23時
スープ・豚ガラと鶏ガラの豚骨塩
麺・中太のストレート麺

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