懐かし過ぎる…デパートの回るお菓子コーナー、発祥はいつ? 松坂屋静岡店「いまだ現役です」

金井 かおる 金井 かおる

 JR静岡駅前にあるデパート「松坂屋静岡店」(静岡市葵区)のツイッター公式アカウントの投稿が1年越しで注目されています。

 写真に写るのは、昭和時代にデパートのお菓子売り場でよく見た回転するお菓子の量り売り。メリーゴーラウンドのように優雅に回る什器に、色とりどりのお菓子が山のように積まれます。呼び名はラウンド菓子、量り売り菓子、回るお菓子台など。同店広報担当者に聞くと「現在も現役です!」。昭和、平成、令和と時代が移り変わっても健在だったとは。現状を調べました。

若い顧客から「エモい!」

 同店がツイッターに投稿したのは2019年9月。いいねは8100、リツイートは3800を超えます。昭和時代の記憶を呼び起こした人も多く、「今でもあるんですね」「元気が出ました」「大人買いしたい」など180件近いコメントが寄せられます。広報担当者に話を聞きました。

 ――設置したのはいつですか?

 「1971(昭和46)年9月14日、弊店が全館新装開店した時になります。当時の図面を確認すると、直径1800mmのものが2台設置されていました」

 ――49年前ですか! お客様からの反応は?

 「私もそうですが、子どものころ、両親と一緒に来た思い出が強く、ときおり懐かしさから購入することがあります。お客様からも『懐かしい』というお声と共に、子どものころの思い出をお聞きすることがあります。(松坂屋静岡店の)ツイッターの中の人は、若いお客様からは『エモい!』という声をいただくと言っております」

 本館地下1階食品フロア内スイートプラザ。100g270円(税込み)。

「回るお菓子売り場」誕生は1959年

 回る什器とお菓子を手掛けるのは、1900(明治33)年創業、名古屋の老舗菓子メーカー「松風屋」(名古屋市中区)です。和菓子ブランド「尾張松風屋」や洋菓子ブランド「FOUCHER(フーシェ)」などを展開します。

 第1号店は1959(昭和34)年、名古屋の名鉄百貨店でした。1959年といえば、バービー人形が発売され、「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」「週刊文春」が相次いで創刊された年。山口百恵さん、榊原郁恵さん、片平なぎささん、渡辺謙さん、春風亭昇太さんが生まれた年でもあります。

 1980年ごろには全国約200カ所で展開。2020年9月末現在、26道府県39カ所で回り続けています。

 正式名称は時代とともに変遷。100種類に上るお菓子を提供するという意味から「V100(バラエティ100)」、美味しさと健康を提供するという思いを込め「G&H(グルメ&ヘルス)」、現在はお菓子の量り売りの単位から取った「Gram(グラム)」と呼ばれています。

 什器のサイズは店舗により違いますが、いずれの店舗でもキャンディー、ゼリー菓子、焼き菓子、スナック菓子など、幅広い年代の人の好みに合わせ和洋さまざまなお菓子が用意されます。特に人気なのは足形のべっこう飴。「個包装されたものを少しずつ、いろんな種類を食べたい」という高齢者にファンが多いようです。

 根強いファンがいる一方、この1年間にも回るお菓子コーナーの入るデパートは3店舗が閉店しました。同社には長年のファンから「他に売り場はあるか」「好きだった商品は現在も入手できるか」といった問い合わせが現在も寄せられるそうです。回るコーナー目当てにお出かけの際は、事前にご確認ください。

 同社「松風屋公式ネットショップ」では、人気商品の足形べっこう飴やミックスゼリーなど約10点をネット販売しています。

「幼いころのあこがれ」「なくさないで」

 SNSで「回るお菓子」「ラウンド菓子」と検索すると、全国のユーザーが地元や旅先で見つけた売り場の写真が現れます。「昔よく買ってもらった」「幼いころのあこがれ」「思い出の味」「なくさないで欲しい」と子どものころを懐かしむ声が多数投稿されます。

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