バレーボールVリーグのヴィクトリーナ姫路が今季から初導入する「スコート」タイプの新ユニホームがSNSでも話題になっている。スパッツの上に、スリットの入ったスコートを重ねたスタイル。その「ちょっとした工夫」や「アクセント」で個性を発揮するという視点から、記者はご当地名物「姫路おでん」のショウガ醤油を連想した。という主観的な見解はさておき、17日のシーズン開幕を前に、広報担当者に今後の取り組みや思いを聞いた。
元女子日本代表監督で、球団オーナーである真鍋政義氏の発案。同氏は9月2日の会見で「3、4年前にイタリア、ブラジルにバレーの視察に行き、スコートのチームが2、3チームあってびっくりした。いつかヴィクトリーナで取り入れたいと思っていた」と説明した。モデルとして登壇した長野有紗選手は「新しいことに挑戦」と翌日にツイッター投稿し、リプ欄には「動き辛さとか無いんですかね?」「選手として、スコートは動きやすいのでしょうか?」といった声が続いた。
この「動きやすさ」について、チーム側に選手の声を集約していただいた。担当者は「『生地が柔らかいので、とても履きやすいです』『スパッツで肌に密着しているので、逆に気にならなかったです』『最初は気になったけど、練習中は全く忘れていました』などの声が聞かれました」とのこと。言うならば、中に履くスパッツが「ミソ」であり、スコートは「器」のようなものかと解釈した。
さらにツイッターでの反応を見ると、予想されたことではあるが、「セクシー路線ですか」という意見も。担当者は当サイトの取材に対して「今までの短パンと違い、中はスパッツです。その上にもう一枚被っていますので、逆に守られていると考えます」と指摘。スリットについては「セクシー」と連想されがちだが、担当者は「ミズノのスコートのデザインで、スリットがないと逆に脚が開かず、動き辛い」と解説。実用性の面でも理にかなったデザインなのだ。
V姫路では今季22試合中4試合で着用予定の新ユニホームをどの試合で着用するかを当てるファンクラブ向けキャンペーンを行う。4試合すべて的中させた応募者には、今季終了後に抽選でプレミアシートへの招待や来季の始球式の権利などの賞品が贈られる。発想のきっかけを担当者に聞いた。
「選手は今までのパンツスタイルに慣れています。スコートを取り入れた初年度は選手に慣れてもらうことを一番に考えました。数試合しか履かないなら、どこで取り入れるかわからない!皆さんに予想してもらおう!と、いう流れです。今回はファンサービスが全くできませんので、ファンの皆さんに喜んでいただきたいということが一番の理由です」
なるほど、コロナ禍時代のファンサービスである。開幕前に新ユニホームを披露する機会はないため、実戦のコートで目撃するしかない。担当者は「ユニホームは選手が自分で運びます。そして何があってもいいように、スコートも毎回持ち歩きます」と補足。「予想」の対象なので、事前に情報が漏れないよう、試合当日に着用が決まるということもありそうだ。
さて、記者は冒頭で「姫路おでんのショウガ醤油」という例えをしたが、「関東炊(だ)き」にショウガ醤油を垂らす(つける)だけという、小さな違いで全国各地のおでんとの差別化がなされ、独自性を確立したという意味で「スコート(スリット)」と重なった。共に「姫路発」ということで…。
その「ココロ」を担当者に伝えると「うーん、難しいですが…」。確かに無理はある。ただ、その「精神」の部分は通じるのではないか。
担当者は「オーナーの真鍋が、常に新しいこと、他と違うことに挑戦したいという考えを持っています。今回のスコートも新しいことに挑戦したいという、真鍋の強い想いからです。取り入れる前に選手にはしっかり話をしていますので、選手も理解しています」と力を込めた。
1部昇格した昨季は最下位だったV姫路。スリット入りのスコートで心機一転、上位4チームを目指す。