名物店のカップ麺など「再現系商品」がコロナ禍で注目…外食控える中、来店促進の契機にも

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「再現系商品」がテーマ。コロナ禍によって、さらに注目される再現系の商品を検証した。

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 川崎のソウルフード、自宅近くの「元祖ニュータンタンメン本舗」が今年3月31日に38年間の歴史に幕を閉じました。チェーン全店が閉店した訳ではないのですが、身近な馴染みの店がコロナ禍でなくなったことはすごくショックでした。

 外食は、大手チェーンを中心に売上が10%ほどダウンすると赤字に転落する構造となっていると言われ、3月から8月に国内の外食売上同月前年比が15-40%ダウン(日本フードサービス協会)となったため、倒産も増加傾向にあります。

 そんな中、朗報が。9月14日にサンヨー食品から元祖ニュータンタンメンの再現系カップ麺が販売され、さっそく買い、美味しく堪能できたのです。

 一方、セブン-イレブンでは、魔訶不思議な光景が店頭で見られています。9月4日に破産した「六角家」の限定の明星食品のカップ麺が、シュールに店舗に並んでいます。ラーメン屋に入るロイヤリティはどこに入金されるんだろうとの問題もあり、いつまで展開が継続されるかは分からないが、もう食べられなくなってしまった味がカップ麺として残る事はうれしい事でもあり、寂しさも感じたりします。

 感染への不安から、国や地方自治体による外出自粛の要請が終了しても、外食を控える環境はまだまだ根強い。「Go To イート」が始まり、徐々に回復の兆しにあるが、中長期的には生活様式の変更で、外食が元の姿に戻るには時間がかかりそうです。

 そんな中、ブランド力を活かした外食を中食(持ち帰り)で販売するコラボによるロイヤリティビジネスは、手間が少なく利益を稼げるため、コロナ禍ではますます増えていきそうです。

 ブランド毀損への最善の注意が必要ではあるが、お店に行かないと食べられない希少感はなくなるものの、再現系カップ麺は、全国各地で食べられ、ファンを増やせるメリットもあり、初めてその店と再現系で出会った顧客が本物を食べてみたいというニーズにより、来店が促進される可能性もあります。

 再現系は、東京・立石の居酒屋「宇ち多゛」(※編集注・「多」に濁点)の焼酎ハイボール、横浜中華街「重慶飯店」の弁当・麺など、ラーメン店以外でも増えています。

 一方、目の前で店員が最終の焼きの調理をしてくれて人気の「炭焼きレストランさわやか」のハンバーグのように静岡県しか展開がなく、そこに行かなければ絶対食べられない外食も希少性で人気を博して行きそうです。

 「Go To イート」キャンペーンとコンビニを併用して、今年の食欲の秋を乗り切っていこうと思っています。

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