〝目覚めると掃除機だった…〟衝撃の「掃除機ミステリ」が爆誕!? SNSで話題…詳しい話を聞いた

山本 明 山本 明

衝撃の「掃除機ミステリ」が誕生しました。何と主人公は交通事故から目覚めると、巨大な虫ならぬロボット掃除機になっているのです。タイトルは「地べたを旅立つ」。今だかつて誰も経験し得なかった体験を描いてしまった作者は、本作が商業デビューとなる、そえだ信さん。実はこちらミステリの老舗、早川書房(東京・神田)主催のミステリ新人賞「アガサ・クリスティー賞」の本年度大賞作なんです。

本賞は今年で10回目。同社と公益財団法人早川清文学振興財団が英国アガサ・クリスティー社の協力を得て創設しました。ジャンルとしては総合的なミステリが対象です。

しかし、そもそも本作はミステリ?SF?異世界転生もの?…新しすぎるジャンルに「気になる」「読みたい」などと、一種の怖いもの見たさ(?)の心理からか、ネットがザワついています。詳しい話を同作の担当者・小塚麻衣子さんに聞きました。

   ◇   ◇

――何がどうなっているのでしょうか?

混乱しますよね(笑)。今回選考はリモートで行いましたが、全員一致でこれは世に出したい!と。まず発想の奇抜さが群を抜いていましたし、何よりも凄く楽しい読書体験だった、というのが選考委員の共通意見でした。

業界の本好きさんたちからも「掃除機ミステリというパワーワード…!」というお言葉と期待を頂戴しています。

――「主人公の勢太は刑事課勤務。小樽市で交通事故に遭い、目覚めると――ロボット掃除機となっていた」とあらすじにはありますが。

そう、目覚めると手足に違和感があって。「自分はスマートスピーカー付きのロボット掃除機になっている!」と気づくんです。実は彼は事故の前に、小学校五年生の姪を引き取ったばかり。彼女は亡くなった姉の子。勢太の保護が外れたと知れば、DV男の義父がやってくる。何としても守らねば…!と札幌から姪のいる小樽へと旅立つんです。

――掃除機の身で。

でもハイスペックなんですよ!見聞きも、自立歩行も、自力充電にネットサーフィンもできます。メールもできるので、札幌への行程で事件に巻き込まれた時は小樽の同僚に知らせたり…。

――ロードムービー的な?

小説なので「ロードノベル」ですね。人助けもしたりします。でもいわゆるチート能力全開!とかでは全然なくて。あくまで「掃除機としてできること」から外れないやり方で問題を解決していく。そこがハードボイルドだし、スカッとしてもらえると思います。

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最後にどんな本にしたいですか?と聞くと「コロナ禍で不安な世相ですが、ぜひこの素敵な掃除機ミステリで楽しい気持ちになってください。ヒーローは必ず来る!って思ってもらえるはず」(小塚さん)とのこと。「地べたを旅立つ」は11月に単行本で発行予定です。

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