ちょたちゃんは、飼い猫の子として産まれた。母猫は、飼い主が知らない間に妊娠していた。外に出た時に、野良猫と交尾したのだろう。望まない妊娠だったため、飼い主は里親が見つからなければ子猫たちを捨てると言った。
里親が決まらなければ捨てる
新潟県に住む森田さんは、2009年6月、当時勤めていた会社の同僚から、知り合いのところで猫が産まれた。気づいたら産まれていたのだが、里親になってくれる人がいなければ捨てようと思っているという話を聞いた。
森田さんは、当時10歳のにゃあちゃんという猫を飼っていた。にゃあちゃんとうまくやっていけるか心配だったが、捨てられると聞いて放っておけなくなった。トライアルなどと悠長なことを言っている余裕もなく、「1匹引き取ろうか」と言った。写真もなく、色や柄は任せてくれと言われた。
「なんだこれ?」でも、よく見たら可愛い
森田さんは、一応、黒猫やキジトラのような色の濃い猫を希望した。7月に写真が送られてきて、黒っぽい猫のように見えたという。
「明日、渡したい」と前日の夜に電話が入り、森田さんは待ち合わせ場所に引き取りに行った。子猫は、本人ではなく、会社の同僚が連れて来てくれた。黒っぽい猫に見えたが、実際に会ってみると箱の中にはサビ猫が入っていた。
「猫をひとめ見て、『なんだこれ?』と思いました。眼が大きくて、顔は逆三角形、まるでかまきりのようでした。でも、返すわけにもいかず、家に連れてきたんです」
よくよく見れば可愛いと思ったが、森田さんの夫も「黒猫だと思っていたのに、黒じゃない」と言った。
子猫は生後1カ月くらい。箱から出すと元気に走り回った。先住猫のにゃあちゃんは隠れてしまい、長男の部屋から出てこなくなった。にゃあちゃんは10年間人間としか暮らしてこなかったので、拒絶反応を起こすのも無理はない。
シニアになって穏やかな性格に
名前はちょたちゃんにした。
夜になるとちょたちゃんは、長女の部屋で寝た。ちょたちゃんがいなくなるとにゃあちゃんはリビングに出てきた。昼間はちょたちゃんがリビング、夜はにゃあちゃんがリビングで暮らすすれ違い生活が1年くらい続いた。ちょたちゃんはにゃあちゃんに「遊ぼう」と言ったが、にゃあちゃんは頑なに嫌だと言った。
ちょたちゃんは高いところが好きだが、降りるのは苦手。欄間に登っては降りてこられなくなる。9歳くらいまで「登らないで!」と言っても構わず登った。森田さんが下で四つん這いになり、「おいで」と言うと背中めがけて飛び降りてきた。シニアになってからは穏やかな猫になった。若い猫がからんできても逃げるだけで、本気で怒ることはない。
おしゃべりが上手で、森田さんが「ちょたちゃん可愛いね」とか「ごはん食べる?」と話しかけると、必ず返事をしてくれるという。