おぎやはぎ矢作兼さんと超新塾アイクぬわらさんが出演する、オンライン英会話サービス「DMM英会話」のテレビCMをご存じでしょうか。
生徒役の矢作さんと講師役のアイクさんとのかけあいの中に、次のようなシーンがあります。
カレーソースの器を手にした矢作さんが「これは?」と講師に質問。英語で答えるはずの講師は日本語で「カレーのルー入れるやつ」。すかさず矢作さんが「知らねーんだろ!」と突っ込むーーというもの。
そういえば筆者自身も「魔法のランプみたいなやつ」とか「レストランのカレーの銀の器」とか呼んでいました。正式名は? 使い方にルールは?
正解は…辞典にも掲載
DMM英会話によると、器の正式名称は「gravy boat(グレービーボート)」。複数の英和辞典で確認すると、グレービーソースや肉汁ソース、カレーなどを入れる舟形の容器との説明がありました。業務用食器の店では、「グレービーボート」「ソースポット」「カレーポット」等の商品名で販売されていることも分かりました。
「中村屋」では1953年から使用
日本で初めてインドカレーを提供した、1901(明治34)年創業の老舗「中村屋」広報担当者に話を聞きました。
―魔法のランプのような器の名称は?
「当社では『カリーソースポット』と呼んでいます」
―使用はいつから?
「1953(昭和28)年からという記録があります」
「当社は1927(昭和2)年に日本で初めてインドカリーを出しました。当時の写真は残っていないのですが、1932(昭和7)年ごろの写真には陶器製のポットが写っています。その後、1953年から現在のようなカリーソースポットを使い始めました」
余談ですが、同社レストランやレトルト商品のメニューには「中村屋純印度式カリー」「コールマンカリー」「純欧風ビーフカリー」など、カリーという名称が並びます。カレーではなくカリーと呼ぶには理由がありました。同社にカレーを伝えたインド人は英語が堪能だったため、カレーをカリーと発音し、そのまま継承しているそうです。
食べ方のルールは?
食事マナーのサイトや本を読むと、カレーとライスが別盛りの場合は「少しずつかける」「全部かけない」「3口分ずつ」などのアドバイスがあふれます。正式なルールはあるのでしょうか。老舗の意見を聞いてみました。
「よく聞かれます(笑)。でも正解はないと考えています。ご自身の好きなように召し上がっていただくーーこれが一番おいしく召し上がれる方法だと考えています」
同社レストランには「中村屋純印度式カリー」を求め、週に2、3度は訪れる客も多いといいます。同社ソースポットを使い慣れた常連さんたちも食べ方はさまざま。チャツネなどの付け合わせを全部ソースに混ぜる人、付け合わせとソースは混ぜずに口へ運ぶ人、その日の気分で混ぜ方を変える人などなど。
「何が正しいとかはありません。食は楽しみながら、好きなように。それが一番おいしいと料理人も申しております」(担当者)。