猫の避妊手術、いつまでにすればいい? 子猫だから大丈夫と思って放っておいたら妊娠ということも

渡辺 陽 渡辺 陽

子猫を飼い始めたのはいいけど、避妊手術をするのはかわいそううだと思って、しばらく様子を見ていたら盛りがついて大変なことになった。一瞬外に脱走したすきに妊娠してしまったという話を聞くことがあります。猫の避妊手術は、いつ頃すればいいのでしょうか。避妊去勢手術専門のクリニック「ハッピータビークリニック」の橋本恵莉子獣医師に聞きました。

避妊手術は生後何カ月になったらすればいい?

――猫の避妊手術は生後何カ月くらいにすればいいのでしょうか

橋本恵莉子獣医師(以下、橋本獣医師):私は早期不妊手術を薦めています。子猫なのに不妊手術をするの?と思われるかもしれませんが、当クリニックの場合は生後2ヶ月くらいから手術が可能です

――子猫には麻酔や手術の負担が大きいのではないでしょうか

橋本獣医師:子猫の手術は大人よりも時間が短くすみ、術後の回復も早いんです。麻酔や手術による副作用も認められないことが報告されています

生後4カ月で妊娠することも!

――たとえば、どんな子猫が手術を受けに来ましたか

橋本獣医師:先日、譲渡先が決まっているという子猫の手術をしました。一番小さな子猫の女の子は体重が770gしかなかったのですが、術後は覚醒もスムーズで、すぐに(CIAO)ちゅ~るを元気に食べてくれました

――しかし、子猫が妊娠するなんてことがあるのでしょうか

橋本獣医師:いつまでも子猫と思っていたら4ヶ月で妊娠した、ということは珍しくありません。譲渡会でオス・メスのペアでもらってきたら妊娠してしまったという人も、実際クリニックに来られました。また、交配目的で、譲渡会で保護猫をもらってきて繁殖したという人もいました

妊娠した猫の堕胎や避妊手術は大きな負担に

――それでは本末転倒になってしまいますね

橋本獣医師:不幸な命を助けたくて行っている保護活動が、不幸な命を産み出す結果になってしまっては絶対いけないと思うんです。譲渡前に避妊手術を必ず行うのが当たり前になってほしいのです

――妊娠した猫の堕胎や避妊手術は、猫にとっても負担が大きいのではありませんか

橋本獣医師:傷口は通常の何倍もになり、妊娠期によっては、手術時間が通常の2倍も3倍もかかることがあります。麻酔薬、縫合糸にかかるコストも増えるので、費用もかさみます。当然、猫にも負担が大きくかかるのです。望まない妊娠をさせないためには、遅くとも5か月齢までに、できるだけ早く避妊手術を受けさせましょう

橋本恵莉子(はしもと・えりこ)Happy Tabby Clinic院長。大阪府立大学農学部獣医学科卒業。2017年度避妊手術数…約1500匹。大阪ねこの会の一斉不妊手術に参加。保護猫シェルターにて感染症対策セミナー講演、松原市役所にて市民向け地域猫セミナー講演するなど精力的に活動。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース