交通事故で瀕死の状態だった子猫 「命がもつかどうか」と告げられてから15年…たくましく生きる

渡辺 陽 渡辺 陽

1匹の子猫が交通事故に遭い、血まみれ、瀕死の重体で溝の中で横たわっていた。大阪府に住む児玉さんは、たくさんの猫を保護して飼ったり、里親を探したりしていたが、たまたま児玉さんの夫が子猫に気づいて保護した。子猫は一命を取り留めたが、下半身麻痺が残ってしまった。

交通事故にあい、瀕死の重傷だった子猫

2005年6月30日、大阪府に住む児玉さんの夫は、夜、家の近くをジョギングしている時に1匹の子猫を保護した。車にはねられて溝に落ち、怪我をして血まみれになっていた。そのあたりで暮らしている母猫が産んだ子猫だったようで、子猫のいる方に向かって母猫がすごく心配そうに鳴いていたので、夜道だったが倒れているのに気づいたそうだ。

瀕死の重体だったので、児玉さん夫妻はすぐに夜間救急動物病院に連れて行った。救急病院では入院はできないので、応急処置だけしてもらい一晩見守った。翌日の朝、動物病院が開くのを待って連れて行くと、「命がもつかどうか」と言われ、即入院することになった。上あごに亀裂が生じつ口蓋裂(こうがいれつ)もみつかった。ひと月ほど入院したら、脊髄損傷があったので下半身麻痺は治らないと言われたが元気になり、口蓋裂も手術したら治った。

里親希望者は現れず

名前はさくらちゃんにした。朝晩、圧迫排尿をしなければならなかったが、前脚をスリスリして歩くことができた。

当時、児玉さんは、保護した猫を10匹以上飼っていた。さくらちゃんを受け入れては、先住猫たちの世話も手薄になると思い、里親を探すことにしたという。「情もわきましたが、誰か受け入れてくれる人がいたら譲渡しようと思いました。動物病院にポスターを貼ってもらったのですが、障害のある子は里親さんが見つかりにくく、手を挙げる人はいませんでした」

児玉さんは、さくらちゃんを迎えることにした。

脚が不自由でもたくましく生きる

後ろ脚がだらんとなった状態で、前脚を使って、後ろ脚を引きずりながら移動するので、先住猫は総毛だって驚いていた。

ただ、先住猫のテンちゃんはさくらちゃんをいたわるように接した。心配そうに見守り、寄り添って寝たり、母猫のようにおしっこをなめて排泄を促したりした。年月が経ってもテンくんとさくらちゃんは仲良しだという。

 

早く亡くなってしまうかもしれないと思ったが、さくらちゃんは元気に育ち、食欲旺盛だった。

15歳になった頃からごはんを食べたり、水を飲んだりしにくそうになった。相変わらず食欲はあるが、前脚が踏ん張りにくくなったようだ。体位を工夫してあげたら、パクパク食べるようになったという。

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