大きすぎて入らない!? 京都のお寺の火焔太鼓、新築ホールに収められず…

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 京都市下京区の仏光寺(真宗仏光寺派本山)に明治時代から伝わる貴重な火焔(かえん)太鼓が、解体され収蔵庫に収められたままの状態が続き、関係者を悩ませている。今春に境内に新築したホールに展示する計画があったが、設計上の問題で頓挫。最後に組み立てられたのは10年近く前といい、寺では「優れたものなので、何とか多くの方に見てもらいたい」としている。

 仏光寺派の火焔太鼓は、1911(明治44)年の宗祖650回遠忌の際に舞楽台とともに新調された。下に置く台や上部の飾りを含めると高さ約8メートル幅3メートル、奥行き3メートルの巨大な太鼓で、刻まれた文様から「火焔太鼓」とも呼ばれる。

 火焔太鼓はその大きさゆえに保管に悩む宗派は少なくない。真宗大谷派(京都市下京区)は上部の飾りを外した状態で東本願寺視聴覚ホールに常設展示しているが、浄土宗総本山の知恩院(東山区)では解体されたままで保管され、浄土真宗本願寺派(下京区)の火焔太鼓は東京の築地本願寺に譲渡された後、2017年9月に解体処分した。仏光寺派では2011年の宗祖750回遠忌法要で御影堂前に舞楽台を設置した際に火焔太鼓も組み立てられたが、現在は傷みが激しく修理が必要な状態になっている。

 仏光寺派では3年後に迎える立教開宗800年などを記念する慶讃法会を前に、眠ったままの太鼓を門信徒や市民に見てもらって関心を高めようと、新しく建て直した「寝殿ホール」に展示スペースをつくる計画をたてた。だが、いすや机などの備品を入れる倉庫を設ける必要が生じたため、太鼓展示の話は白紙に。修理だけでも1千万円以上かかるといい、寺宝が日の目を見るめどはたっていない。

 仏光寺派の八木浄顕総務は「文化財指定は受けていないが大切な寺宝。後世に伝えるためにも補助金などの仕組みがあればありがたい」と話している。

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