7匹の子猫を育てる母猫の姿に感動 車庫に“不法侵入”ながらも野良猫一家を保護

佐藤 利幸 佐藤 利幸

山形県に住むmemeさんが、その野良猫と出会ったのは2019年の夏のことでした。自宅の屋根をふと見上げるとそこにいたのです。「いったいどうやって登ったんだろう」などと思って見ていましたが、それが運命の出会いだとは知る由もありません。以来、野良猫は屋根の上から毎日のようにmemeさんの顔を見つめていました。

数カ月が経ったころ、その猫が自宅近くの畑で日向ぼっこをしていました。そしてそのお腹はふっくらとしていました。「どこで赤ちゃんを産むんだろう」と様子を見ていましたが、次に会ったときはすでにお腹のふくらみはありませんでした。

両親がいる実家の近くで、子どもたちと暮らすシングルマザーのmemeさん。高校生の長男からある情報がもたらされました。「あの猫が赤ちゃんを(実家の)車庫に運んでいる」。半信半疑で車庫を見に行くと、小さな段ボールの中でかたまりのようなものが動いているではありませんか。それからの毎日、memeさん、長男、そして両親は子猫の様子を見に行きました。すると、箱の中に5匹の子猫、最初はそう思っていましたが、結局、7匹の子猫がいることを確認しました。

「母猫にご飯を買ってきたら、なんと私の父も買ってきていて、少しずつみんなで世話をするようになりました。母猫はとても母性に溢れていて、一生懸命子育てする姿に感動を覚え、子猫たちもスクスク育っていました」(memeさん)

ところがある日、1番小さな子猫がぐったりとしていました。急いで病院に連れて行くと、40度以上の熱。数日前に下痢をした子でした。すると、次の日から1匹ずつ体調を崩し、結局7匹とも病院に連れて行くことになりました。獣医師からウイルス性の胃腸炎と診断され「母猫が猫風邪かもしれない」と言われたため、母猫と離すことにしました。

それでも母猫は毎日子猫を探しにやってきます。おっぱいが張ってパンパンです。「辛くて、母猫にご飯をあげながら、ごめんね…と泣きました」。その後も母猫のけなげな姿を見てmemeさんの母親が飼うことになりました。避妊手術を受け、現在は「ピピ」と名付けられ、家猫として幸せに暮らしています。

後日、memeさんの元に驚くべき情報が入ってきました。ピピちゃんが子猫を運んで育てていた場所である車庫は、ピピちゃんが生まれた場所だったそうです。「近所の猫好きのおじさんが教えてくれました」(memeさん)。ピピちゃんは“里帰り”して子育てしていたことになります。

子猫たちは、というと里親を募集して少しずつ新しい家が見つかっています。7匹のうち4匹の里親が見つかり、残るは3匹。memeさんは「毎回里親に行く日は嬉しい気持ちと寂しい気持ちで涙がでます。今いる3匹、みんな一緒にいられたらいいのになと思いながら1日1日を大切に過ごしています」と、ちょっと複雑な気持ちで里親が現れるのを待っているそうです。

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