詐欺ジャーナリストが自ら婚活して見えてきた…婚活詐欺の騙しテク 年収・職業ばかり気にする女性は危ない!

多田 文明 多田 文明

 このところ、婚活詐欺の被害が多く発生しています。ターゲットになっているのは、女性たちです。

 今年7月、婚活パーティーで出会った30代の女性に投資話を持ち掛けて、390万円ほどをだましとった45歳の男が詐欺の容疑で逮捕されています。男は海外の銀行に勤めたことがあり、そこに投資用の口座を持っているなどと嘘をつき、結婚する話をもちかけて女性に金を預けさせていました。海外に住んでいることを信じさせるため、ホテルに長期で滞在するなどの工作も行うという用意周到さです。他にも被害女性がおり、その金額は3千万円にも上るといいます。

 なぜ、婚活詐欺に、だまされてしまうのでしょうか。

 私も離婚を機に、婚活パーティーや婚活サイトを頻繁に利用していますが、最初から相手が詐欺師なのかを見抜くのは、難しいことを感じています。というのも、詐欺師はまず相手の気を引くために、ファーストインプレッションを良くして近づいてくるからです。そのために、多くの女性が求めるであろう、仕事や年収を偽ります。

 6月に逮捕された48歳の男は、婚活パーティーで知り合った30代女性から約200万円をだましとっていますが、この時、自分は大学病院の医者だと偽っています。詐欺師たちは高収入の職業を用いて、相手に良い印象をもたせようとしてきます。すると、こちらも好印象のお返しをしなければという思いが強くなり、疑いづらい状況が生まれてしまうのです。

 私など、婚活パーティーでは、正直に年収がさほど多くない、収入が不安定なジャーナリストと自己紹介しますので、ほとんどの女性からスルーされます。いっそのこと年収1000万円だと言ってしまえば、興味をひいてもらえるかもしれないと、心に魔が差しそうな時もありますが、嘘はダメです。正直な自分を見せてしまうので、結果は毎回、玉砕ということになります。

 こうした心境を味わったのでしょうか。裁判所の事務官が、婚活パーティーで出会った30代女性らから、結婚の積み立てを名目に金をだましとったとして、逮捕されています。自らは職員であるにもかかわらず、実際にいる裁判官の名刺を渡して、身元を偽っていました。犯行の動機について、女性が職業のことばかりを気にかけて、自分自身を見ていないことに腹をたてたためと供述しているそうです。 

 婚活してる人がすべてそうだというわけではありませんが、実際に年収・職業・ルックスが一番で、人柄は二の次という人は多いように思います。そうしたところに、詐欺師が付け入る隙があるように感じています。

 また、ネット上でお見合いができる婚活アプリを使っての詐欺もあります。

 元力士が金持ちを装い近づき、出会った40代女性から「キャッシュカードをなくしたので、お金が引き出せない」などと嘘をついて、100万円以上の金をだましとっていました。

 婚活アプリでも、職業や年収は自己申告制なので、いくらでも嘘をつけます。それゆえ、メッセージのやりとりや、デート時の会話などから、相手の話に矛盾がないかを確認することは必要でしょう。

 得てして、婚活をする女性たちのなかには、年収やルックスの良い人とデートなどを重ねて、複数の人をストックしておき、つないでおく人がいます。ですが、詐欺を行う側も同じことをしていることを忘れないでください。それなりにお金をもっていてだませる人がいないか、日ごろから女性をストックしているので、詐欺被害に遭う危険性も高くなります。

 それにコロナ蔓延の今は、婚活詐欺がやりやすい状況でもあります。「昨年はものすごく稼いだが、今はコロナの影響で、資金繰り苦しいので、貸してほしい」と言いやすいからです。

 6月に、54歳の男が婚活サイトで知り合った50代女性に会社経営者と嘘をついた上で「コロナ不況で経営が厳しい」などと嘘をついて、100万円ほどをだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕されています。この男は他の女性にも「コロナ不況」を理由に金をだまし取っていました。コロナを巧みに利用したケースは今後も出てくるでしょう。

 こうした婚活詐欺を行う男性らをみていると、彼ら自身がコロナウイルスのような存在に思えてなりません。

 コロナウイルスの“コロナ”は「王冠」の意味で、その周りに“スパイク”(突起)を持つウイルスだと言われています。それが、私たちの体に侵入して細胞に取りつくと、細胞自体がウイルスを取り込んでしまいます。すると、その細胞を乗っ取り、コロナウイルスをどんどん増殖させていきます。

 まさに、婚活詐欺師たちも、年収や仕事を偽るなどして、いかに相手の心へ侵入するのかに腐心しています。もし、心に入り込まれたら最後です。恋愛感情がどんどん増幅されて、相手の金銭要求にあらがえなくなっていきます。

 婚活詐欺は恋愛感情という、人として生きる上で大切なものを利用しながら、相手の心を乗っ取り篭絡していく。とても許してはいけない行為です。

 ですので、詐欺師を排除するためには、コロナウイルスの対策と同様に、うがいや手洗いは必須です。その時の感情のまま、相手の言葉を受け入れるのではなく、一回、すべてを白紙にして、洗い直してみるのです。仕事は本当か、相手の話に矛盾はないかなど、情報を精査するための洗浄は必須事項です。それから次の行動に移る。

 婚活サイトでは、私のところにも、本人の顔写真なしの20歳以上も年齢が離れた人や、海外からのロマンス詐欺と思えるようなアプローチもやって来ます。珍しく自分に関心を持ってくれたと嬉しい思いから、すぐに反応しないように気を付けています。

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