ハチミツ二郎さんが浴びた「サラリーマン舐めんなよ」…サラリーマンのファッションはどこまで許容されるのか?

中将 タカノリ 中将 タカノリ

先日、お笑い芸人と兼業でサラリーマンとして勤務を始めたハチミツ二郎さんのTwitterの投稿が話題になっている。

内容は匿名の相手から

「お前、何がさらりーまんだよ!

サラリーマン舐めんなよ!金髪の髭のサラリーマン?、いい加減にしろ」(原文まま)

というダイレクトメールが届いたというもの。

金髪と髭はハチミツ二郎さんのトレードマークだが、たしかにサラリーマンらしいファッションではない。ハチミツ二郎さんはお勤めの会社は容姿に関しては自由とのことなので、外部の人間に文句をつけられる筋合いはないのだが「サラリーマンらしさ」という固定観念に縛られた人からすると違和感を感じてしまうのかもしれない。

サラリーマンファッションと言うと七三に整えられた髪型に地味な色目のスーツという典型が浮かんでくるが、実際は髪型やスーツの形にも年々流行が反映されるようになってきたし、近年はスーツを着用しなくていい会社も増えてきた。今、サラリーマンファッションに個人の趣味趣向はどこまで許容されるのだろうか。今回、まいどなニュースでは洋服の青山を展開する青山商事の広報ご担当者と東京・大井町のLEMI hair所属の人気美容師、衛藤功(えとう つとむ)さんにそれぞれお話をうかがってみた。

中将:サラリーマンのファッションは昔にくらべ自由度が増していると言えるのでしょうか?

担当者:選択肢は広がっていると思います。

中将:具体的にどのような点が自由になっているのでしょうか?

担当者:スーツのみならず、ジャケット&パンツスタイル、クールビズ時期のビズポロなど、ビジネスウェアに使用するアイテムの幅が広がっています。

中将:クールビズの導入がサラリーマンファッションに与える影響は大きかったでしょうね。必ずしもスーツを着なくても良くなり、オフィスカジュアルなんて言葉もよく耳にするようになりました。

今20代~30代の若い世代の方がサラリーマンファッションに求めることはどのようなものでしょうか?

担当者:機能性や快適性を求めるお声が増えています。弊社でもそれに対応し、動きやすいストレッチ素材、吸汗速乾性のある素材、雨に強い撥水素材などを使用した機能性商品のバリエーションを強化しています。

中将:今後のサラリーマンファッションはどのように展開してゆくとお考えでしょうか?

担当者:働き方の多様化に合わせて、多様化していくと思います。

   ◇   ◇

中将:美容院に通うサラリーマンは比較的ファッション意識の高い層だと思いますが、そういう方たちが美容院に求めるのはどんなものでしょうか?

衛藤:うちに来られるお客様はお勤めされてる方がほとんどです。IT企業の方は比較的制限が無いのですが、大半の方からは会社による規則と、したい髪型の兼ね合いに悩んでいるという声をよく聞きます。パーマはOKでもカラーはNGという場合が多いですね。制限のある中でも最大限遊べる髪にしたいということで、3種類ぐらいのスタイリングが楽しめる髪型が圧倒的に人気です。

中将:やはりサラリーマンならではの悩みというのがあるんですね。サラリーマンの髪型は昔にくらべ自由度が増していると言えるのでしょうか?

衛藤:襟足短めで、耳周りはスッキリという清潔感が重要視されていることはあまり変わっていません。ただ、最近の若い方に人気の2ブロックスタイルはその枠からは外れていないので、清潔感があってかつお洒落という受け入れられ方をしています。

ほんの10年くらい前までは2ブロック自体かなりエッジの効いたスタイルというイメージでしたが、今ではむしろ社会人に受け入れやすいスタイルとして定着したという印象です。今では銀行の営業の方でさえ2ブロックOKになっていますので、部分的に見れば自由になってきているのかなと感じます。

中将:最近、お洒落なサラリーマンに人気の髪型はどんなものでしょうか?

衛藤:やはり圧倒的に2ブロックスタイルが人気です。

中将:2ブロックってそんなに流行ってるんですね!

衛藤:中でも仕事の時、オフの時で違うスタイリングができるタイプが人気ですね。最近の2ブロックは多様化されており、耳周りの刈り上げが全く見えないようなスタイルもあります。前髪は上げもおろしも両方できる髪型が好まれています。

中将:こっそり校則に反発する学生みたいで面白いですね(笑)。衛藤さんはハチミツ二郎さんの事件についてどう感じますか?

衛藤:髪型を決めるのはその方自身ですし、所属する組織もOKならば、そこに関係のない第三者が文句を言うのはお門違いですね。

美容師をしていると、髪型ってその人が他者からどう見られたいのか具現化したものだと気が付きます。それに制限を加えることはその人の心を縛ることにもつながるのではないでしょうか?

日本では多くの場合、自由な髪型を楽しめるのはせいぜい大学の4年間だけ。社会が個人の容姿にもう少し寛容になれば、みんなもっとストレスなく生きていけると思うのですが。

   ◇   ◇

サラリーマンファッションについて、現状は未だカジュアルになりすぎることや髪型に制限をもうける会社が大勢を占める。しかし、その自由度は少しずつではあるが確実に拡大傾向にあるようだ。

国際化や意識の変化にともない、ファッション意識や髪型、髪の色もますます多種多様になるであろう今後の日本社会。いずれ「サラリーマンらしさ」という概念自体が許容されなく時代が訪れるかもしれない。

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