手術をあきらめた子猫 余命わずか覚悟も獣医師が「化け猫」と驚いた奇跡の回復、今は2度目を期待

木村 遼 木村 遼

 リヴを準備中の猫シェルターへ連れて帰った。施設はまだ電気が通っておらず、懐中電灯を照らして夜を過ごした。この先長くないかもしれないリヴだが、手術をすれば絶対に治ると信じて病院の予約日を待った。

 予約日当日、リヴを連れて病院を訪れた。状態を詳しく調べるため、CTを撮ってもらった。検査結果をもとに、担当の獣医師が状態を説明してくれた。頭のどこかでリヴは手術で治ると期待していたが、その期待は大きく裏切られた。

 リヴの横隔膜ヘルニアは想像以上に酷く、骨折の治り具合から恐らく事故から日数が経っているため、更に手術の成功率が低くなるという。また手術に至るまでに、麻酔に耐えられない可能性が高く、加えて手術時の仰向けの体制が肺を圧迫し、窒息する可能性もある。手術が成功したとしても、術後に肺に水が溜まることも考えられる。手術のハードルが途轍もなく高かったのだ。

 希望すれば手術できるが、病院側から勧めることはできないと告げられた。更には、2つある腎臓のうち1つが機能していないことも判明した。この日はすぐに回答ができず、帰ることにした。

 帰宅途中、長時間の外出でストレスだったのか、リヴの呼吸が乱れ始めた。すぐに落ち着いたが、余命はもう長くないのかと頭をよぎった。そこで、リヴがこの先少しでも楽に長く生きられるようにと、すぐに酸素ケージをレンタルした。その後、今後のリヴについて一緒に活動している妻と話し合った。

 手術が失敗してすぐに亡くなってしまうよりも、短く限られた時間かもしれないが美味しい物を食べてもらい、沢山の愛情を注いで幸せを感じてもらいたい。私達は手術をしない選択をした。

 その後はシェルターに泊まり続け、なるべくリヴと一緒に過ごした。時々呼吸が苦しくなり、酸素を吸引させることもあったが、みるみる元気になっていった。気が付けば1カ月が経ち、横隔膜ヘルニアを忘れるぐらいリヴは健康な猫と変わらないように見えた。

 その後、ワクチン接種のため、紹介状を書いてもらった地元の病院にリヴを連れて行った。すると担当医師が驚いた顔でこう言った。

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