雨の音が聞こえてきそう! 和菓子の製造風景に「ため息が出ちゃう…」

天草 愛理 天草 愛理

 近畿地方が梅雨入りして1カ月。温度と湿度が高まってじめじめとした日が続いており、うんざりしている人も多いことだろう。そんな中、京都市内の老舗和菓子店の社長が「寒天に波紋をつけています」とツイッターに和菓子作りの動画を投稿した。川に落ちた雨滴で描かれる模様を見事に再現した技法に「ため息が出ちゃう…」「ずっと見ていたいです」と称賛のコメントが相次ぎ、「いいね」も24万件付くなど話題を集めている。

 1803年創業の「亀屋良長」(下京区)。社長の吉村良和さん(46)は4月、新型コロナウイルス禍による売り上げ減をきっかけに「和菓子の魅力を自分から発信しなければ」とツイッターのアカウントを開設した。

 動画が話題になった和菓子は、茶会用に特別に創作した生菓子で、その名も「雨の音」という。小豆や白あんを閉じ込めた緑色の寒天の表面に、熱した針金を軽く押し当てて渦巻き模様を作り、川に雨の波紋が広がる様子を表現した。針金は自作したという。

 吉村さんは動画を投稿した意図について「自然や人の営みを切り取ってめでるのが和菓子のいいところ。梅雨はあまりイメージが良くないですが、その美しさに目を向けてもらいたいと思いました」と説明する。

 「食べてみたい」という声があったことから、7月1日に売り出した。販売期間は梅雨が明けるまで。ツイッターでの反響の大きさについて、吉村さんは「作り手としては当たり前の日常の風景をおもしろいと言ってくださることに驚きました。見えない背後の部分を見て作り手の思いを感じ取ってもらえたらうれしいです」と話している。

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