「お母さん!無理してポテトサラダ作らないでください!」 プロが語るポテトサラダ作りの苦労

中将 タカノリ 中将 タカノリ

スーパーのお惣菜コーナーでポテトサラダに手を伸ばした母子に対し「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と絡んだ高齢男性がいたというエピソードがTwitter上で話題になっている。

「母親なら」という前近代的なジェンダー観と言い、他人の買い物にいちゃもんをつける非常識さと言い、男性の言い分はなんら汲むべきところのないおかしい話なのだが、未だにこのような感覚で女性に"理想の母親像"を求める男性がいることに対する驚きがこのエピソードを大きく拡散させているのだろう。

また「ポテトサラダくらい」という表現についても違和感を感じる人が多いようだ。作ったことのある人ならわかると思うが、スーパーやお店で売っているレベルのポテトサラダを作るには大変な手間と労力がかかる。ジャガイモを茹でて、潰して……とやっているうちに他のお惣菜が2、3品は作れてしまうくらい厄介なメニューなのだ。今回、まいどなニュースではポテトサラダ作りの苦労について神戸・新開地の人気飲食店「肉バル Sow」のオーナー、石井孝宣さんにお話をうかがった。

中将:石井さんは「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」という発言についてどう感じられましたか?

石井:自分でポテトサラダ作ったことない人なんでしょうね(笑)。飲食店にとってもポテトサラダ作りはかなり手間のかかる仕事なんですよ。うちでも1時間近くはかかっていますし。

中将:僕も家で何度か作ってみたことがありますが、時間も労力もかかるし、なにより美味しく仕上げるのが難しいですよね。

石井:主婦の方にも「どうやったら美味しく作れるの?」って聞かれたことがあるんですが、ジャガイモの固さって品種や季節によって違うので茹で時間が肝心なんですよ。皮をつけたまま茹でるか、皮をむいてから茹でるかによっても変わってきます。お店では毎日出すから感覚でわかってくるけど、たまに作るくらいだとその見極めが大変じゃないでしょうか。

中将:そのハードルをこえてまで家庭でわざわざポテトサラダ作る必要性はないですよね……。

石井:作り甲斐のある料理だけど、それが主菜になるわけじゃないし保存も難しいですしね。昔と違ってお勤めしている女性も多いわけですし……今回話題になってるツイートの絡まれた女性には「お母さん!無理してポテトサラダ作らないでください!」と言ってあげたいです。ぜひスーパーで買ったりお店に食べに来てください。

中将:最近はポテトサラダにこだわったお店も多いですからね。お客さんにとっては手軽で安くて美味しい最強の料理だと思います。Sowのポテトサラダもすごく美味しいですが、どんな工夫をされてるんでしょうか?

石井:うちはお酒を出す店なんで、粒マスタードやひき肉を入れて味わいに深みが出るようにしています。ビールやサワーのおつまみに最高だし、手間はかかるけど頑張って作っていきます。

   ◇   ◇

プロの料理人にとっても面倒だというポテトサラダ作り……。家庭で作るのもいいだろうが、最近はスーパーや飲食店のポテトサラダがかなりグレードが高くなっているので、それを越えるものを作るのは至難の業のはずだ。よほど時間が有り余ってるのでなければ、ぜひぜひスーパーや飲食店の美味しいポテトサラダを召し上がっていただきたいと思う。

■「肉バル Sow」

所在地:神戸市兵庫区新開地3-3-4
※神戸高速鉄道新開地駅より徒歩1分、JR神戸駅より徒歩8分
営業時間:15時~23時
定休日:日曜

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