永瀬正敏がコロナの時代に考えた 映画のこと仕事のこと「一層手を抜けない」

石井 隼人 石井 隼人
主演作『二人ノ世界』が現在公開中の永瀬正敏(撮影:石井隼人)
主演作『二人ノ世界』が現在公開中の永瀬正敏(撮影:石井隼人)

「お前たち本当によくやってくれたよなあ」。俳優デビュー作の映画『ションベン・ライダー』(1983)撮影終了後に行った銭湯で、相米慎二監督から背中越しにかけられた労いの言葉。思わず号泣してしまったあの日から早37年。俳優の永瀬正敏(54)は役者としても一観客としても、映画をずっと愛してきた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響から、映画産業を含むエンターテインメントが一時停止を余儀なくされた。緊急事態宣言が解除され、各映画館は感染リスクを抑える対策を講じながら営業を再開。しかし平時へと戻る道のりは長い。主演作『二人ノ世界』が現在公開中の永瀬が、映画への想いと俳優としての心境を語る。

「今はどこの業種も平等に大変な時期ですから、みんなで一緒に乗り越えていかなければなりません。ミニシアターや大手シネコンも当分の間は満席にはならない状況が続くと思います。しかしそのような状況の中でも劇場を開いてくれている。映画に関わる者として感謝しかありません」と劇場関係者には頭が下がる思いだ。

映画館やそこに足を運ぶファンのために、やらなければならないことはただ一つ。「いい作品を作り続けて、お客さんが1人増えた、3人増えた、5人増えた、10人増えたという風にしていかないと申し訳がない。映画に関わる人間として一層手を抜けない。劇場に来ていただいたお客さんに喜んでもらえるような作品を、今こそ作らなければ。僕らが頑張らなければいけないんです」と力を込める。

エンターテインメントは命に関わりのない、不要不急のものだと指摘されることもある。だが永瀬は「僕個人としては今まで生きてきた中で、映画というものに何度も救われてきました。何かに躓いたり、思い悩んだりしているときに映画は心に光をくれました。これからも僕は出演者としても観客としても映画に救われていくだろうし、映画の光が消えることはないと考えています」と確信を込める。

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