大阪府にある猫の不妊手術専門の動物病院「Happy Tabby Clinic(ハッピータビークリニック)」を運営する獣医師の橋本恵莉子さんは、2020年4月23日、病院の前に伊藤園の寄付型自販機を1台設置しました。なぜ寄付型自販機を設置したのか、その理由をHappy Tabby代表の橋本恵莉子獣医師に聞いてみました。
寄付型自販機って何?
――寄付型自販機とは何なのでしょうか。
橋本獣医師(以下、橋本) 伊藤園さんの寄付型自販機がありまして、ドリンク代の数パーセントが寄付金としていただける仕組みになっています。
――1台では、わずかな寄付金しか期待できないのではないでしょうか。
橋本 将来的には自販機を100台、200台と全国に増やしていって基金を増やし、猫の不妊去勢手術を無償にしたいと思っています。なにより、自販機には猫の不妊去勢手術がなぜ必要なのかということが書いてあるので、設置台数が増えると、たくさんの人に見てもらえます。それが最大のメリットです。
私たちが設置するだけでなく、寄付型自販機の設置にご協力いただける設置協力パートナーや基金の賛助会員も募集しています。
なぜ寄付が必要なの?
――なぜ寄付型自販機を設置されたのでしょうか。
橋本 自販機の前面に書いてあるのですが、猫の不妊去勢手術をすると大勢の猫の命を助けることができるんです。外の世界は猫にとって過酷で、カラスに襲われたり、交通事故に遭ったり、仲間同士でケンカになったりして生き延びるのが難しいのです。犠牲になるのは、主に子猫です。また、不妊去勢手術していない飼い猫が子猫を産んで、飼い主が子猫を捨てるケースも後を絶ちません。こうした不幸は不妊去勢手術を普及させることで未然に防げるのです。1匹の猫の不妊去勢手術で、大勢の猫の命を救えます。
――不妊去勢手術の費用はどれくらいするのでしょうか。
橋本 Happy Tabby Clinicでは、オスの場合1匹5,000円(税抜き)、メスの場合1匹7,000円(税抜き)です。妊娠している場合は、1,000円加算します。一般の動物病院では、病院によって異なりますが、12,000~40,000円します。
野良猫問題は社会問題
――ボランティアさんの負担も軽減されるといいですね。
橋本 自治体の助成制度やどうぶつ基金が発行する不妊手術の無料チケット、おおさかねこの会の一斉手術なども利用できるのですが、それだけではまかないきれません。大阪府で活動しているボランティアさんの辻本麻佐子さんは、年間20匹くらいTNRして約10万円自腹を切っているといいます。
――無償化が実現してボランティアさんの負担を軽減することができたら猫の問題は解決するのでしょうか。
橋本 確かにボランティアさんの負担は大きな問題ですが、それだけでは解決できないと思います。野良猫問題を社会の問題ととらえ、社会全体でこの活動を支えようとする流れを作りたいのです。その結果、基金がまとまり、手術が無料にできれば、より解決に導けると考えています。
猫の寄付型自販機の設置に関心のある方は、以下の問い合わせ先にご連絡ください。設置スペースと毎月の電気料金が必要ですが、売り上げの一部は設置した方に支払われます。
【問い合わせ先】
一般社団法人Happy Tabby
TEL 072-970-5917 e-mail yao.happy.tabby@gmail.com