大手コンビニエンスストア3社が7月1日からレジ袋を基本「1枚3円」に有料化する。そこでクローズアップされてくる「マイバック」はコンビニでも定着するのか。また、有料化に伴う店側のメリットやデメリットは。各店舗のスタイルはどのように変わっていくのか。流通アナリストの渡辺広明氏に聞いた。
マイバックの使用が定着しているスーパーマーケットには「買い物」という明確な目的を持って行く場合が多いが、コンビニは仕事帰りなど、外出時の「ついで」に立ち寄るケースが多いため、「手ぶら」か、買った商品が入らないバックしかないことが多い。今後、マイバックを常備する習慣が出てくるのだろうか。
渡辺氏は「女性はマイバックをほぼ持っていますが、コンビニがレジ袋を有料化することにより、男性のマイバック携帯率が一挙に上がる可能性がある。セブンイレブンでは、ポケットに入れやすいエコバックハンカチが既に発売されており、さまざまなエコバックがこれから発売されると思われます」と指摘した。
では、レジ袋有料化に伴うコンビニ店舗側の課題として考えられることは。
渡辺氏は「デメリットとして、接客時間が多くなることが考えられます。従業員は『レジ袋必要ですか?』と聞きますし、お客さんがマイバックなどを持っている場合は『お入れしますか?』と聞く。お客さんが持っている袋はいつものレジ袋と違うので10秒ほど接客時間が増えるのかなと見ています」と分析した。
さらに、同氏は「弁当など汁もの商品の漏れなどの対策が必要になるかもしれません。マイバックへの商品を入れる対応が、各社や各店舗でバラツキが出る可能性が現状としてあり、それに対するお客さんの不満が従業員に当てられる可能性がある」とも指摘した。
では、今後、コンビニの店舗はどう変わっていくのだろうか。
渡辺氏は「7月1日以降 接客の中でさまざまな課題が生まれるものの、試行錯誤で対策しながら、脱プラスチックのエコ意識も高まり、早い段階で定着していくと思われます」と説明。「コンビニのアルバイト不足はコロナ禍で少し改善されたが、中長期的には人手不足が懸念される。今回のレジ袋有料化で接客時間が長くなるので、セルフレジへのお客の誘導がポイントなります」と指摘した。
つまり、コンビニはセルフレジを活用することで、接客時間を短くする対策がこれから最も重要になってくるという。
渡辺氏は「ローソンはコロナ禍に伴い、セルフレジを推奨するという形で7月1日からポイント2%還元をします。セルフガソリンスタンドのようにセルフレジ利用者のポイント還元が増えていき、人手不足対策になっていくのかもしれない。そういった対策を打ちながらセルフレジに移行していけば、接客時間もプラスマイナスゼロになっていくと考えられます」と今後のポイントを挙げた。