自宅のガレージで瀕死の状態で倒れていた子猫たちを保護。1匹は息絶え、2匹は生き残った。またたく間に子猫たちは元気になり走り回るように。兵庫県で築100年超えの古民家に暮らす荒木さんは、猫が暮らしやすいように改装し、パートナーの女性と仲睦まじく暮らしている。
瀕死の状態で発見した3匹の子猫
2016年6月26日のお昼頃、兵庫県に住む荒木さんは、仕事を終えて車で帰宅したところ、ガレージで3匹の子猫が倒れているのを発見した。1匹は植木鉢の上に横たわっていて、残る2匹はその周りに倒れていた。数日前から周辺をうろうろしているのは見かけたことがあったが、2、3日前まではとても元気だったという。
「梅雨のさなかの蒸し暑い日で、3匹とも息はあったのですが、まだ目も開いていない子猫で、ピクリとも動かず、いまにも死にそうな感じでした」
その日は日曜日で動物病院が休診だったので、荒木さんはダンボール箱にタオルを敷いて子猫たちの様子を見守った。
生きるも死ぬも生命力次第
猫用のミルクを与えてみたが1滴も飲まず、夜中に1匹亡くなった。一番状態の悪かった子猫で、荒木さんは庭のゆずの木の下に亡骸を埋葬した。
翌朝、動物病院が開くのを待って2匹の子猫を連れていくと、獣医師は「生きるも死ぬも生命力次第です」と言った。生後2カ月くらいだった。ひどい猫風邪のため1匹は両目が開かず、もう1匹は片目が開かなかったが、抗生物質が効いたようで一週間もすると元気に走り回っていた。
荒木さんは女の子をうみちゃん、男の子をそらくんと名付けた。
当時、荒木さんは仕事や出張で家にいないことが多いので、うみちゃん、そらくんを猫好きの恋人に預け、暇さえあれば会いに行った。彼女の家には、ショコラくんという13歳を超えたシニア猫がいたが、ショコラくんは、まるで2匹の子猫の母猫のようにふるまった。
「ショコラは男の子なんですが、お乳を吸わせたり、グルーミングをしたりかいがいしく世話をして、いつも3匹くっついて寝ていました」
猫が暮らしやすいように古民家を改装
シニア猫のショコラくんが2018年に亡くなると、2匹はキャットフードを食べなくなり、落ち込んだ様子だった。ダンボール箱に入れたショコラくんの亡骸を何度も見に行っていたという。しかし、時とともに元気になったそうだ。
3年後、2019年5月25日、荒木さんと恋人が一緒に暮らし始めたのを機に、荒木さんは、自宅を猫が暮らしやすいように改装した。
築100年以上の古民家の中二階の梁を残してキャットウォークのようにして、暖炉を設置、床は猫が走りやすいように杉板を敷いた。
「杉板には猫の爪のあとがついていますが、それも味わいがあっていいなと思っています」
2匹とも来客があると隠れてしまうが、うみちゃんはフレンドリーで、すぐに近くに寄っていく。そらくんはシャイな甘えん坊だという。