工事現場や道路で規制や区分のために使われる三角コーン。赤や緑といった鮮やかな色が目を引く半面、京都のように神社仏閣が多い街では悪目立ちし、風情を損ねてしまうこともある。「景観に配慮できないか」。3年前、京都の会社役員の思いから歴史的建造物が多い街にも溶け込む三角コーンのカバーが生まれた。既製品にかぶせるだけで周囲の風景と調和を図れることから、京都だけでなく全国各地に広がっている。
開発しているのは収納器具などを主に取り扱う「山分物産」(京都市下京区)。会長の山分芳造氏は生まれも育ちも京都市で、かねてから街中で見かける三角コーンに無粋さを感じてきた。
転機は3年ほど前。出張先のベトナムで竹製の漁具を見た時、「竹で三角コーンカバーを作れば見苦しさを緩和できるのではないか」と思いついた。
こうして誕生したのが竹で編んだ「和コーン」。ベトナムは竹細工が盛んで、加工に適した竹が多く生えていることなどから、同国の工場で製造を始めた。
現在は世界遺産・二条城(中京区)や、京都らしい街並みで知られる花見小路(東山区)のほか、全国のホテルや旅館、神社仏閣などで利用されているという。
山分物産の担当者は「追加で注文をもらうこともあり、評価してもらっているのではないかと思っています。全国には『小京都』と呼ばれるところや世界遺産がたくさんあるので広くPRしていきたいです」と意気込んでいる。