“ホームレス歌手”がステイホームで描いたコロナ封じイラスト…可愛すぎると絶賛拡散中

八木 純子 八木 純子

 携帯電話の待ち受け画面になったり、ライブハウスや飲食店などの壁に貼られたり…兵庫県出身のフォークシンガー、作人さん(本名=田代作人)が描いた新型コロナ封じの「アマビエ」と「ヨゲンノトリ」が「超可愛い」と話題になっています。イラストに込めた思いを聞いてみました。

みんなを元気づけたくて描いた2つの作品

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの人が苦境に立たされています。明石で生まれ、神戸で育ったフォークシンガーの作人さんも、その1人。昨年暮れには“家族の絆”をテーマに神戸国際会館大ホールで念願だった単独公演を開催し、これを機にさらなるステップアップを目指していました。

 「広範囲な音楽活動に胸躍らせていた矢先でした。イベントやライブハウスでの仕事がすべてキャンセルになり、ここ数カ月は失業状態でした」と作人さん。

 小学4年生のとき、阪神大震災に遭い、自宅は倒壊しました。当時17歳だった姉を亡くし、やがて家族は離れ離れに。一時ホームレスも経験した作人さんにとって、人生初のステイホームは皮肉のような出来事でもありましたが、その中で「大変な思いをしている人はたくさんおられる」と、音楽活動以外に自分にできることはないかと考えたそうです。

 実は、作人さんは音楽活動のかたわら長年にわたってイラストを描き続けてきました。オリジナルのイラストが入ったボールペンや携帯ケース、カバンなどさまざまな商品を企画するなど、イラストレーターとしても活躍していたのです。

 そんな作人さんが「新型コロナに負けず、みんなを笑顔にしたい」という思いで最初に描いたのが、疫病を鎮めるとされる半人半魚の妖怪「アマビエ」でした。厚生労働省の新型コロナの感染防止を呼びかけるキャラクターにも採用されていたものです。

 その次に描いたのは、コロナ封じ込めのお守りとして話題を集めていた「ヨゲンノトリ」です。これは江戸時代より伝わる頭が2つある伝説の鳥で作人さん風にアレンジしました。

 2作品とも「ファンの中にはお子さんもいて、子どもにも親しまれるように可愛らしく描こうと考えました」と話しています。

待ち受け画面として拡散中

 作人さんが描いたアマビエとヨゲンノトリは、彼の周りから広がっていきました。月1回出演している西宮のさくらFMの番組内でも反響があったそうで「収録時にスタッフに見せたら『いいね』といわれ、画像をプレゼントしました。携帯の待ち受けにしていただけて嬉しかった」

 その後、ファンや音楽関係者の間でも話題になり、神戸を代表するライブハウス「チキンジョージ」や、作人さんのホームである大阪の「中津StepHALL」、飲食店、個人宅などでも貼ってもらえ、2つのお守りイラストはSNSと口コミでどんどん広がっています。

 緊急事態宣言が解除され、作人さんもライブ配信など少しずつですが、本職の音楽活動ができるように。これまで多くの逆境を乗り越えてきたシンガーは「このお守り画に一番勇気づけられたのはボクかもしれない」と笑顔で語ってくれました。これからも“命の大切さ”を胸に歌い続けます。

 ちなみに、個人は無料で使用可能。イベントや商品にしたい人などは作人さんのHP(http://sakuto.me/)やSNSまで「ご連絡ください」とのことです。

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