コロナ禍で奮闘が続く飲食店や鉄道の駅などに「マスクの下は笑顔です」というポスターを見かけることが増えました。ネットで検索すると、東京や大阪、九州など、全国規模で拡大が続いているようです。ふと気になりました。これは一体、誰が作ったの?
黄色と赤を基調にした、A4サイズながら目立つデザイン。特に目を引くのは、白いマスクの上に描かれた大きく笑った口元です。「当店のスタッフは衛生面を考慮し、マスクを着用しております!が!! マスクの下は笑顔です!」のセリフが踊ります。
調べるとすぐに出どころが判明しました。手掛けたのは大阪市浪速区にある「メニューデザイン研究所」。飲食店のメニューのデザインを専門に行う会社です。同社コピーライターの山崎達弥さんに話を聞きました。
ーー「マスクの下は笑顔です」のポスターをよく見かけます。
「新型コロナの影響でお困りの飲食店さんに対し、何かできないかと思ったのがきっかけで作り、3月3日ににリリースしました。業態や高級・大衆などに関係なく使えるツールを考えた末、POPという形になりました」
ーーコピーと笑い顔が印象的です。
「同じ時期に『消毒しています』や『換気しています』などのPOPも作っていたのですが、どうしてもネガティブな印象を与えてしまうことが気になりました。ポジティブなワードで、と考えた末のキャッチコピーです」
ーーデザインとコピーはどなたが?
「弊社のデザイナー2人、中尾信博と丸山夏季です。他にも営業担当者が『マスクをしていると、いつもより自分の感情が伝わりづらい』と言っていたこともあり、少しでもその想いが伝わるようにしたいと考えました」
ーー使用料金はおいくらですか?
「無料です。お困りの飲食店さんのお力になれればという思いからです」
ーー無料ですか!?
「会社全体で『ギブの精神』を元にさまざまなことに取り組んでいますので、有料という考えは元々ありませんでした。POP配布以外にも、テイクアウトのまとめサイトなど、出来ることはどんどん取り組んでいます」
ーー喜ばれているのでは?
「ご好評をいただいております。商談などでも、わざわざPOPの話を出してお礼を言ってくださることも本当に多いです」
ーーうれしい反応ですね。
「弊社と直接関わりのない飲食店さんが使ってくださっているのもうれしいです。社内では『こんなとこでも見たよ!』と情報や写真を共有したりしていますが、本当にいろいろな場所で使用してくださっているようです」
最近では、自治体が市のホームページを通じて市内中小企業に提供したり、鉄道の駅でも見かけるようになりました。中には、独自の文言を付け加えアレンジした使用例も。著作権的には問題がないのでしょうか。同社の見解を聞きました。
「今回のPOPは、ギブの精神で作ったものなので全く問題ありません。JRさんからは弊社に連絡をいただいており、こちらでもアレンジしての使用を把握しておりますので大丈夫です。デザインを作る際、万国共通で認識できるものをと思い、スマイリーのアイコンにしました。この笑顔の輪がどんどん広がっていけば良いなと思っています」(山崎さん)。
■「マスクの下は笑顔です(PDF)」ダウンロードURL
https://menudesignlab.com/images/pdf/POP1.pdf