駅に張り出した医療関係者への感謝の手紙→まさかの”返礼”が書き込まれる 沿線住民にも広がる感動

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルス感染者の治療や予防の最前線に立つ医療従事者へ、感謝の手紙やメッセージが、各地で送られています。そんな中、東急旗の台駅(東京都品川区)では、構内に張り出した駅員からの手紙に、最寄りの昭和大学病院の関係者から手書きの“リプライ”が寄せられ、その温かいやり取りは沿線住民の心をも温かく包み込んでいます。

 医療関係者にエールを送ろうと、都内上空をブルーインパルスが飛行した先月29日の夜、「大学病院の最寄り駅。何気なく眺めてたら駅員さんへの『返礼』が書き足されていて、即号泣(をこらえつつ帰宅)。ありがとうがこだまする、そんな優しい街に住んでて良かった」とツイッターに投稿したのは、にゃんこそば(@@ShinagawaJP)さん。「私自身、コロナ禍の中恐る恐る通勤してきましたが、鉄道と医療という社会インフラの最前線の方々が、手書きのメッセージでエールを送り合うというのはとても新鮮で、元気をもらうことができました。文字が人を勇気づけることもあるんだ―と再認識しました」と振り返ります。

 東急電鉄によると、手紙は同駅の係員が先月初旬に発案。感染者数の急増で医療体制がひっ迫する中、迷惑にならないように病院側に事前に了承を得た上で、先月4日に送付したといいます。「毎日通勤される皆様を改札窓口から見守らせて頂いております」「私共には想像もつかない緊迫感と脅威、恐怖の中で、懸命に戦っていらっしゃる皆さまに感謝を申し上げると共に、私共にできる最大限のエールを送らせていただきます」などとつづり、2枚目には、ひときわ大きく「ありがとう!昭和大学病院 がんばれ!!昭和大学病院」の文字が。最後は「皆さまのお陰で私共駅係員や池上線・大井町線沿線の多くのお客さまをお守り頂いていることに感謝致します」と締めくくり、先月15日にはあらかじめコピーしたものをラミネートし、構内の掲示板に貼りだしたそうです。

 その手紙への“リプライ”に駅係員が気付いたのは先月25日のこと。「駅員さんもいつもありがとうございます 昭和大学の1人として」「昭和大学職員として、心より感謝申し上げます。今後もどうぞよろしくお願い致します」といった文字に、駅員らは「まさか、本当に読んでもらえているなんて…」と驚くとともに「思いが伝わり、本当にうれしかった」と振り返ります。

 東急電鉄では、旗の台駅以外でも最寄りに大きな病院のある複数の駅でもこうしたエールを送っていたそうです。緊急事態宣言に伴う外出自粛で乗客数も激減する中、「報道関係を始め、何度も『間引き運転はしないのか』と聞かれましたが、本数を減らすとその分『密』になってしまう。医療従事者の方々ら緊急事態宣言下でも社会を動かすため働いている方々の“足”を奪う訳にはいきませんし。駅員も乗務員も常に感染の恐怖を感じながら、通常運行、通常シフトを続けてまいりました」と広報担当者。「だからこそ、このお返事は本当に嬉しかったようです」と話してくれました。

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