一時預かりボランティアで犬の保護活動に目覚めた70代男性 散歩は一日4、5回…ワンコとの日々が生きがいに

岡部 充代 岡部 充代

 大阪・寝屋川市に住む岡満さん(仮名・74歳)は仕事をリタイヤし、介護が必要だったご両親を見送って一人暮らしをしていました。明るいうちからお酒を飲むこともあったそうです。そんなとき、お世話になった介護ヘルパーさんから勧められたのが、保護犬の預かりボランティア。保護・譲渡活動を行う団体や個人から犬を一時的に預かり、自宅でお世話するボランティアです。

「人が足りなくて困っていると聞いて、すぐやってみようと思いました。昔は飼っていたけど、仕事で出張が増えてから飼うのをやめていたんです。犬と一緒に住むのは40年ぶりくらいでしたね」(岡さん)

 最初に預かったのは、左右の瞳の色が違うオッドアイが印象的なシロちゃん。岡さんの頭の中には「保護犬=野良犬」というイメージがあり、シロちゃんも保健所に収容されていたと聞いて「どんな汚い子が来るのか」と身構えていたそうです。ところが、予想外にきれいな子でびっくり!このシロちゃんとの出会いが、岡さんの預かりボランティア魂?に火をつけました。

 シロちゃんの卒業後はトシオさん、ハッピー君と次々に犬を預かり、楽しい毎日を送っていた岡さん。保護犬たちに家族が見つかり巣立っていくのはうれしいはずですが、時に複雑な心境になることも…。

 ハッピー君が2018年暮れに卒業したときの岡さんの様子を、預かりボランティアの依頼主である『犬の合宿所in高槻』代表・伊藤順子さんが教えてくれました。

「ハッピーを里親さんにお届けする日の朝、岡さんはとても喜んでくれたのですが、『正月はハッピーと一緒に過ごそうと思ってたんやけど…』ってつぶやかれたんです」

 ちょっぴりさみしかったのでしょう。その後、伊藤さんには岡さんからメールが度々、届きました。

「預かりワンコはまだですか?」

「次のワンコが来るのを楽しみにしています」

「次のワンコはまだですか―?」

 預かりボランティアは、岡さんにとって生きがいになっていたのです。

『犬の合宿所in高槻』は沖縄や鹿児島の離島から犬を引き取ることが多いため、岡さんは空港からの搬送を手伝ったり、男手が欲しい力仕事を買って出たり、卒業犬が迷子になったときには犬を連れて捜索に参加したり…実際に発見・保護に貢献したこともあります。

「大したことはできませんが、私で役に立てるならね。犬はどの子もかわいいですから」

 そう言ってニコニコ微笑む岡さん。これまで20頭以上の犬を預かり、ごはんをあげて、お散歩に行き、愛情を注いできました。その優しさが伝わるのでしょう。写真には、岡さんに甘える犬の姿があちこちに見られます。

「散歩は一日4、5回行きますね。家の近くをぐるっと回るときと、車に乗せて出掛けるときと。主婦の人が預かっていることが多いようで、大きな犬、力の強い犬、大変な犬が来ると、ウチにとなるようです(笑)。体が元気なうちは続けたいですね」(岡さん)

『犬の合宿所in高槻』にとって、今や岡さんはなくてはならない存在。代表の伊藤さんは「どんな犬も助けたい!と思っている私たちにとって、力が強い男性の預かりさんはとても貴重なんです」と話します。

 現役を退き、時間はたっぷりあるけれど、今から犬を飼うのはちょっと…という犬好きのお父さん、保護犬の一時預かりボランティアはいかがですか? 散歩に行きたくてうずうずしている犬たちがたくさんいるようですよ!

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