高速道路のSAにいた脚の不自由な猫 保護されて家猫に→脱走、そして…

渡辺 陽 渡辺 陽

高速道路のサービスエリアに脚の不自由な猫がいた。猫好きな家に保護されたが、しばらくすると脱走。家の外で過ごしていて、近所から苦情があり、再び家に入れて室内飼いにした。家族は焦らず、猫のペースに合わせて暮らしたいという。

サービスエリアにいた脚の悪い猫

関西地方に住む大下さんは、たびたび出張で名古屋に行っていた。2018年12月末、いつものように名古屋へ行く途中、奈良県の香芝サービスエリアに立ち寄ると、脚の悪い猫がいた。片方の後ろ脚がなく、ぴょこん、ぴょこんと脚を引きずって歩いていた。

「サービスエリアのコンビニはキャットフードを置いていなかったので、おかかのおにぎりなら食べるかと思ってあげたんです。むしゃむしゃ食べました」

帰り道に、再び香芝サービスエリアに立ち寄ると、掃除道具が置いてある小屋のような所に脚の悪い猫がいた。キャットフードの空き缶が2、3個落ちていた。サービスエリアの店員に聞くと、時折猫好きのトラック運転手があげているのだという。

大下さんは家で4匹の猫を飼っていたので、どうしたらいいのか迷ったが、「もし捕まえられたら、連れて帰ります」と言って、猫を入れるダンボール箱をもらった。

ソファの下に隠れたまま暮らす

猫を捕まえようとすると、シャーっと威嚇してきたが、何とか保護できた。逃げるのをあきらめたようにも見えた。不妊手術を済ませた野良猫に行う耳先カットがしてあった。だが、やせて、被毛には艶がなかった。

翌日、動物病院に連れて行くと、脚は感染症にはかかっておらず、傷はもう治っていると言われた。

おとなの猫だったので、譲渡先を見つけるのは難しかった。何か病気が見つかり、譲渡先に迷惑をかけるわけにもいかず、「みーちゃん」と名付けて自宅で飼うことにした。

家に連れて行くと、4匹の先住猫は近寄らなかったし、威嚇もしなかった。一方、みーちゃんもずっとソファの下に隠れて出てこなかった。ごはんを近くまで持って行くと食べはした。数カ月して、なでさせてくれるようになり、ソファの上にも乗るようになった。

猫のペースに合わせたい

しかし、2019年9月中旬、脱走事件が起きた。ベランダに通じる窓を開けていると、そこから外に出て行ってしまったのだ。

「まさか外に出るなんて。捕まえようとしたのですが、うまくいきませんでした」

大下さんは猫小屋を家の外に設置し、水やごはんを置いた。みーちゃんは辺りで日向ぼっこをしたり、野良猫と背中をくっつけて寝ていたりした。

「外の子とは気が合うのかな、仲間ができてよかったなと思ったのですが、近所の人の車の下に入って『どけ』と怒られたり、近所の家の庭で花にオシッコをして苦情が来るようになったんです。野良猫を餌付けしていると思われたようで」

近所の畑に柵やネットが増えていった。「なんとかしなければ」と思い、猫の保護猫活動をしている人に捕獲方法を教えてもらった。

結局、2020年1月、キャットフードを使って捕獲し、家に入れた。ほかの猫とうまく付き合えないので、みーちゃんに一部屋を与えた。すると、外に出たいと言うこともなく、電気ストーブの前でじっとしている。

「少しずつなれてきているので、強引に近づこうとは思いません。みーちゃんが距離を置きたいならそれでいい。好きにさせようと思っています。ただ、保護したからには手放そうとは思いません」

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