子猫4匹を引き連れ庭で居候を始めた母猫 人懐こさにメロメロ…そして家族になった

渡辺 陽 渡辺 陽

 

庭に現れた人懐っこい猫が、ある日4匹の子猫を連れて引っ越してきた。子猫たちはすぐに里親が決まったが、母猫は譲渡先が見つからず、松尾さんの家族が飼うことになった。

庭に現れた人懐っこい猫

佐賀県に住む松尾さんの家の庭には、鳥のエサ台があった。2013年6月、エサ台にパン粉を置いておいたら、1匹の猫がパン粉を食べに来ていた。やせていて毛がボサボサだった。「お腹がすいているんだな」とかわいそうに思い、ごはん持って近づくと近寄ってきてスリスリしてきた。とても人懐っこい猫だった。松尾さんのお母さんも、以前、その猫がお兄さんの足にスリスリした後に、お母さんの足にもスリスリしてきて可愛かったのを覚えていると言っていた。1歳くらいだったが、まだあどけなさが残っていた。

その日から、猫は松尾さん宅にごはんを食べに通うようになった。お父さんは、猫にごはんをあげるのを反対していた。それでもこっそりごはんをあげていると、お父さんもだんだん情が移ってきたのか何も言わなくなった。

猫は、ごはんを食べると膝に乗ってごろごろ喉を鳴らし、しばらく松尾さんの手や足をなめた後、毎日必ずどこかに帰っていった。住み着くことはなかった。ところがある日、庭で4匹の子猫がはしゃいでいた。ごはんを食べに来ていた猫は、どこかで子猫を育てていて、この家はもう大丈夫だと思ったのか庭に一家で引っ越してきたのだ。

うめちゃん、家族になる

母猫と子猫たちは、庭に住み着いて帰らなくなった。毎夕ご飯を食べた後に庭を走り回って遊んでいた。その光景を見るのが、松尾家の日課であり楽しみだになった。しかし、このまま5匹を飼うことはできない、早く猫たちの里親をみつけなければならない。そう思った松尾家の人は、里親探しを始めた。同時に、人を見ると逃げてしまう子猫のために自家製の捕獲機を用意して捕まえた。

「いろんな人に『猫はいりませんか』と聞いたり、動物病院に張り紙をしてもらったりしました」

子猫たちの里親さんはすぐに決まった。決まった後にも候補者が現れるほどだった。しかし、お母さん猫だけ貰い手がつかなかった。

 お父さんは、母猫のことを「飼っていいとは言っていない」と言った。早く不妊手術をしないと大変なことになる、そう思った松尾さんは、猫を飼う許可が出るのを待たず、母猫を動物病院に連れていき、手術をしてもらった。いったん外にリリースして、少しずつ部屋にあげて、お母さんからお父さんに母猫を飼うと伝えてもらった。お父さんはもうすっかりお見通しで、気付いたら家族みんなで可愛がっていた。名前は、うめちゃんと名付けた。

うめちゃんの幸せとは

先住猫のたまちゃんは猫が大の苦手。最初、うめちゃんはたまちゃんの目につかない部屋で暮らしていたが、いまは距離を取っていればお互い平気なようだ。あれほどうめちゃんを飼うことに反対したお父さんだったが、外と中を自由に行き来するうめちゃんのために車庫に階段や段ボールハウスを作り、車から棚に飛び移るのを見て、棚も作ってあげていた。

 もともと人懐っこいうめちゃんには、近所にもいろんな知り合いがいる。その人たちが家の前を通るとすかさず挨拶に行く。たまに勝手につけられたミーちゃんという名前で呼ばれている。うめちゃんは、狩りが得意で時々おみやげを持って帰ってくる。ねずみがひっくり返っていたり、鳥の羽が散らばっていたりする。ねずみを捕まえてきて、ねずみのそばに立って、ニャアととても可愛い声で鳴いていたこともある。松尾さんは、「有難う」と言って、こっそりねずみを葬った。

完全室内飼いのほうがいい、獣医師にそう言われて松尾さんは悩んでいる。家に閉じ込めたこともあるが、外に行きたいと鳴き続けた。何がうめちゃんにとって幸せなのか考えているという。

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