コロナ禍での外出自粛が続いた5月。久しぶりの散歩で見かけた道端や街路樹などに咲く花が、ひときわ鮮やかに感じた人も少なくないのでは。そんな花の名前を、写真を撮るだけで教えてくれるスマホアプリが人気です。…が、ほんの戯れに文鳥を撮ってみたところ、出てきた衝撃の答えがネット上で話題を集めています。
話題になったのは、週刊少年マガジンの人気連載「川柳少女」の作者、五十嵐正邦さんの今月23日のツイート。「撮るだけで花の名前がわかるアプリで文鳥撮ったらサトイモに分類された」と衝撃の事実をつづったところ、これまでに1万リツイート、2.6万いいねをあつめ、「丸くて美味しそう」「可愛すぎる!」という声のほか「うちのインコもサトイモでした」「うちの犬もサトイモだったことがある」「うちの文鳥はシクラメンでした」との証言が続々と寄せられました。
五十嵐さんに聞きました。
―かわいい文鳥ですね。
「『ぶん』といいます。5歳です。文鳥は独占欲が強くて気分屋でヒステリックなところがありますが、それでもパートナーと決めた人間には一途なところが魅力ですね」
―でもなぜ、文鳥を撮ってみようと?
「ネットで『ハナノナ』というアプリを知ってダウンロードしたものの周りに花がなかったのでとりあえず身近な文鳥を撮ってみた感じですね。ちなみに、撮り方によってはウメになったりユリになったりしました。話題になって、文鳥って可愛いね、と魅力を知ってもらえたのは良かったですね」
ハナノナは、千葉工業大人工知能・ソフトウェア技術研究センター(ステアラボ)が最新の人工知能技術を応用して開発したアプリ。主席研究員の竹内彰一さんによると、画像に写っているものが何かを判別する技術は現在盛んに研究されている領域といい、同ラボではこれを花の認識に応用しようと4年前にプロジェクトを発足させました。
「なぜ花の名前か、というと詳しくないからです」と竹内さん。「身近のもので名前が分かると楽しいもの―を探した時にこれだ!と。庭にも近所にも、公園にもあって、季節が変わるとまた新しい花が咲く。そして名前を知っているとちょっと自慢できる…などなど。花は最高の題材だと思いました」と振り返ります。2017年に406種類を判別できるWeb版をリリース。その後770種類まで精度を上げ、4月7日にiPhoneアプリとしてリリースし、人気を集めています。
今回の“誤認”について、「ハナノナは、少しでも花っぽく見えると、ハナノナが認識できる770種類の中から一番近い名前を答えます。ですから、文鳥がサトイモの花にわずかに似ていたのではないでしょうか?サトイモの花は白い大きな花です。カラーリリーもサトイモ科です。白い文鳥だと少し似てます、かね?」と竹内さん。
「文鳥を見てサトイモの花を連想するなど人間にはない発想ですが、人間だって雲を見てドラえもんに似ているとか、樹木のこぶを見て誰々さんに似ているとか言ったりします。人工知能の想像力は人間のようにたくましいのです。突拍子のないところまで含めてアプリを楽しんでくださいませ」と話してくれました。
AIと聞くとものすごく賢いイメージですが、彼(彼女?)なりに一生懸命悩んでたかと思うと、なんともいじらしくて…かわいいですね…!