夏場のマスクは要注意!着用で「熱中症」のリスクが高まります

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 コロナ対策で、今年は夏場もマスクエチケットは必須になってきました。しかし、野外や高温多湿なところでマスクをすると熱中症のリスクが高まるおそれがあります。スポーツ庁では熱中症のリスクを考慮し「体育の授業はマスク不要」を呼びかけています。また、子どもがマスク着用を希望する場合でも医療用などではなく、呼吸がしやすい「一般用マスクで」といいます。

熱中症の季節到来…居住施設内での熱中症も急増

 暑さによって体温調節機能が乱れたり、体内の水分量や塩分量のバランスが崩れたりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などさまざまな症状を引き起こすのが「熱中症」です。

 特に、いまから夏場にかけて起こりやすく、炎天下に長時間いたり、暑い中で運動をしたときに発症するイメージが強い思われていますが、それだけではありません。意外にも気温が低い日でも湿度が高いと熱中症にかかりやすく、発生場所も室内や居住施設が「3割以上」というデータもあるようです。

熱中症のリスク上げるマスクはどうする?

 新型コロナウイルスの出現で「マスクの着用」を含む「新しい生活様式」が政府から発表されています。しかし、これからの季節、気温・湿度の高い中でマスクを着用し続ければ、熱中症のリスクは高まります。というのも、マスクを着けていると心拍数や呼吸数が上昇して、体に負担がかかるからです。

 そこで、環境省は熱中症対策としてのマスク対策を次のように述べています。

●気温・湿度の高い中でのマスク着用は要注意
●屋外で人と十分な距離 (2メートル以上)を確保できる場合はマスクをはずす
●マスクを着用している時は、負荷のかかる作業や運動を避け、周囲の人との距離を十分にとった上で適宜マスクをはずして休憩を

 コロナ対策にはマスクは有効ですが、熱中症にはマスクは逆効果になることもありますので、気をつけてくださいね。

熱中症対策はしっかりと!

 熱中症対策としては以下のようなことに気を付けてもらいたいものです。

1)暑さを避けよう!
・外出する際は帽子や日傘を使用しましょう。日陰を歩くようにもしたいものです。
・ブラインドなどで直射日光を避けたいものです。
・エアコンを利用する場合、部屋の温度や湿度を調整しましょう。
・暑い日は無理をしないように努めましょう。

2)換気には気をつけて
・感染症予防のため、換気扇をつけ、また、窓を開放するなど換気はこまめ にしてください。

3)服装にも一工夫
・涼しい服装を心がけましょう。
・熱がこもらないような服を着ましょう。

4)水分補給はこまめに
・のどが渇く前に水分補 給をしましょう。※特に高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくいものなので、注意してください。
・汗をかいた時は水分と一緒にミネラルやビタミンも失われます。ミネラル補給も忘れずに。

5)日頃から健康管理を
・体温測定や健康チェックを習慣づけましょう。
・体調が悪いと感じた時は、無理は禁物です。

6)体力づくりも大切
・ウォーキングなど無理のない範囲で体力づくりをしましょう。

熱中症判断と応急処置は?

 なお、次のような症状があれば、要注意です。

・症状は?
立ちくらみ、やめまい、吐き気、頭痛、体に力が入らない、ぐったりしている、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、まっすぐに歩けない、体が熱いなど。

・応急処置は?
1)涼しい場所に移る
2)衣服を脱がせ、体内の熱を放出させる
3)水タオルや氷、うちわなどで体温を下げる
4)水分などを補給する

 ただ、いくら注意を払っても熱中症を完全に防ぐことは困難です。なので…もしもの時は医療機関等に連絡を!熱中症を疑う症状があり、意識がない時や呼びかけに対する返事がおかしい時などはすぐに救急車を呼ぶことをおすすめします。

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