“密”とは無縁の名物映画館もようやく営業再開 ドキドキの復活初日に潜入だ!

黒川 裕生 黒川 裕生

新型コロナウイルスの緊急事態宣言や自治体の休業要請が解除された府県では、休館していた映画館が続々と営業を再開。関西でも22日から、一部のミニシアターやシネコンのスクリーンに再び灯りが戻った。23日に再開した老舗二番館、神戸・新開地の「Cinema KOBE(シネマ神戸)」初日の様子を覗いた。

復活を飾るのは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」などで知られるトム・ハーディが双子のギャングを1人2役で演じたクライムサスペンス「レジェンド 狂気の美学」。正直、存在すら知らなかったが、こういうノーマークの作品に出合えるのが二番館の魅力でもある。支配人の木谷明博さんによると、復活1作目に選んだ理由は「4月11日の休館前からラインナップにあったから」だそうだ。

普段は2本立て1500円(一般)だが、29日までの1週間は「営業再開ウオーミングアップ週間」として、同価格で「レジェンド」1本のみの上映。木谷さんは「同じ料金を取るのは心苦しいですが、できれば支援だと思ってご協力いただきたい」と話す。なお、成人映画の2番スクリーンは3本立てでこの日から上映を再開した。

初回は午前11時から。いつもは空いていることが多いシネマ神戸も、さすがに今日ばかりは行列ができているかも…とそわそわしながら30分前に着いたが、以前と変わらぬ人口密度だ。ただ、受付に飛沫感染防止用のカーテンが設置され、手指用の消毒液も完備。マスクを着用していない人には、使い捨てマスクを渡す対策も講じているという。

チケットを買って中に入ると、座席は1席ずつ間隔を空けてテープが貼られていた。が、121席に対して初回の観客数は11人。(これ意味あんのかな…)と心の中で独りごちつつ、ほぼ1カ月半ぶりの映画館での映画を心ゆくまで満喫した。

上映終了後、木谷さんと少し話した。1席ずつ空けることについては、「コロナ対策とはいえ、普段から“密”とはほど遠いので、張り切りすぎているみたいでちょっと恥ずかしい。再開の問い合わせは結構あったんですけどね…」と苦笑い。それでもようやく再開できたことには「やれやれという感じです」と安堵の表情を浮かべていた。

休館中、最も苦しかったのは、やはり資金繰りだ。「コロナ前からぎりぎりの状態なので、1カ月以上収入が途絶えたことが今後どう響いてくるか…。お客さんがどれだけ戻ってきてくれるかもわからない」と不安は尽きないという。木谷さんと話している間も、スタッフは劇場の扉や自販機のボタンなどを入念に消毒していた。細心の注意を払いながら、手探りの日々が始まった。

1週間のウオーミングアップを経て、30日からは2本立ての通常仕様に戻る予定。ラインナップは、30日〜6月5日「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」「バニシング」/6〜12日「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」「スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班」/13〜19日「ドミノ 復讐の咆哮」「暁に祈れ」/20〜26日「ジュマンジ/ネクスト・レベル」「オレの獲物はビンラディン」/27日〜7月3日「バッドボーイズ フォー・ライフ」「68キル」が決定している。

◾️シネマ神戸 https://cinemakobe.jimdofree.com/

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