コロナで帰れない 神戸への思いネオンサインに イラストレーターの投稿に共感続々

金井 かおる 金井 かおる

 神戸でおなじみの飲食店や企業など20社以上のロゴをひとつひとつ手描きで再現し、ネオンサイン風に仕立てた1枚の作品がツイッターで話題です。里帰りすら気軽にできない今、「なつかしい」「泣きそう」「神戸に帰りたくなった」など全国の神戸ゆかりの人たちの胸に刺さっています。

 作者は神戸市垂水区出身、兵庫県西宮市在住のこもりあやみさん。5月19日の夜7時過ぎに投稿し、一夜明けると「いいね」の数は1万を超え、今も拡散が続いています。「神戸が恋しくて。賑わいが早く戻れば」と故郷神戸への思いを込めた作者こもりさんにお話をうかがいました。

ーーすごい勢いで拡散中ですね。
「これまで神戸をテーマにした作品を発表した時も『久々に帰省したい』という声はありましたが、今回ばかりは外出が制限されているだけにみなさん切実な思いを抱えておられると感じました」

ーー神戸をなつかしむ声も。
「とある方からは『恋人や家族、友達との楽しい思い出がよみがえり、泣きそうになった』とお礼の言葉までいただきました。厳密には自分のオリジナル作品ではないのですが、こういった反応はやはりうれしいです」

ーー外出自粛から生まれた1枚なんですね。
「着想から完成まで大体8時間くらいで仕上げました。今回、現地での写真撮影ができず、公式ホームページなどの画像を元に再現しました。完全な複写にならないよう配慮し、フリーハンドでレタリングしたので一層時間がかかりました」

ーー夜景にした理由は?
「神戸の魅力の1つに夜景がありますが、これは街の人々の営みから成り立つものです。コロナにより夜間の活動が制限されている今、ネオンが光る風景に思いをはせることは、雲に隠れた月を想像することに通じる気がします」

ーーネオンサインは目を引きますね。
「ネオン風の表現が『ポップかつオシャレ』として受け入れられている様子をネットで知り、共感を得やすいかもしれないと思って取り入れました」

ーー作画方法は?
「procreateという有料の描画アプリです。iPadとAppleペンシルで描きました。このアプリのライトペンというツールがネオン管の雰囲気を出してくれます。線を書くとき、手ブレ補正もしてくれる優れものです」

ーー作品の名前はなんといいますか。
「考えてはみたのですが、公共的なデザインのコラージュ作品であり、なおかつ自分の作風が大きく出ているものでもないので命名は控えようと思っています。SNSなどでポジティブな話題として盛り上がったらそれでいいかなと思います」

ーーコロナは制作活動にも影響がありましたか?
「制作は基本的に取材活動がベースなので、それが出来ないもどかしさは常にあります。ただ、あらゆる表現方法の中でも『自宅でできる』という意味では絵が一番影響が少ないと実感しました。この機会に習作をしたり、procreateの使い方を研究することに力を入れています」

ーー心境の変化も?
「私は他の絵描きさんとの交流が少なかったので、自分から積極的にコメントを送ったり、作品を注文するようにしました。コロナの不安を共有できて精神的な負担が軽くなりよかったです」

 神戸の女子高生の全制服を網羅し話題となった「神戸制服コレクション」の作者でもあるこもりさん。現在は、新シリーズ「阪神制服コレクション」や、西宮市の風景を描く「ニシノミヤドローイング」に取り組みます。

 「もともとペンネーム『こもり』の由来は『自宅にこもる』ことから来ているので(笑)、しばらくは家でゆっくり制作に集中したいと思います」(こもりさん)

 安心して帰省したり、ショッピングをしたり、夜景を眺めたり──そんな日常が待ち遠しいですね。

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