「松蔭中高が衣替えしたら夏」ーー神戸市出身のイラストレーター、こもりあやみさんは5月16日、自身のTwitter(@ayami_setron)を更新。「いかなご漁が始まったら春 松蔭中高が衣替えしたら夏 有馬の紅葉が深まったら秋 六甲山小がストーブに火を入れたら冬」と投稿しました。
この日は地元の松蔭中学・高校(神戸市灘区)の生徒が夏服の白いワンピースに衣替えした日。同校公式サイトによると、制服は1925(大正14)年からほぼ同じデザインで「毎年、5月の夏服への衣替えは、新聞各紙に掲載されています」。当日は地元紙「神戸新聞」が夕刊一面や電子版「神戸新聞NEXT」で「伝統のワンピース、新緑に映え 神戸の松蔭中・高で夏の衣替え」と報じました。
神戸になじみのある人にとっては「松蔭の衣替え=夏の風物詩」と言っても過言ではなく、こもりさんの投稿を読んだユーザーからは「めちゃわかる」「神戸の四季」「めっちゃ神戸やん」「なつかしい」「神戸新聞の夕刊だ」などの声が上がり、多くの「いいね」がつきました。
「神戸の風物詩を見ると心がほっとします」
投稿したこもりさんに話を聞きました。
──「イカナゴ、松蔭衣替え、有馬の紅葉、六甲山小のストーブ火入れ」について、こもりさん流の解説をお願いします。
「イカナゴは2月から3月にかけてが漁のシーズン。最近は不漁で高値が続きますが、各家庭で炊くイカナゴのくぎ煮は独特の甘辛い香りが春を感じさせます」
「松蔭は白いワンピースの衣替えが有名で、毎年神戸新聞に取り上げられます。新緑にさわやかな白が映えて絵画のように美しいです。『神戸制服コレクション』(神戸市内の高校の制服を網羅したイラスト作品)を描いた自分としては毎年見るのが楽しみな風物詩です」
「有馬の紅葉は瑞宝寺公園が有名です。併設のお茶屋さんに真っ赤な番傘が並ぶのも見ごたえがあります」
「六甲山小のストーブ火入れも恒例行事で、朝の気温が10度を下回る日にストーブをつけるそうです。朝晩冷え込む時期なので『街中にももうすぐ冬が来るんだなあ』と実感します」
──神戸の風物詩だと意識したのはいつ頃からですか。
「はっきりと季節の移り変わりを意識するようになったのは、成人して今のイラストの活動を始めるようになってからです。子どもの頃は神戸市垂水区からほとんど出ない生活だったので、イカナゴくらいしかなじみがなかったです。でも神戸新聞の夕刊を熱心に読んでいたので風物詩の記事にも触れていたんだと思います」
──投稿が反響を呼んでいます。
「神戸新聞の松蔭衣替えの記事を見て、恒例の行事で四季を感じられる幸せを他の人と共有したいと思いました。コロナや世界情勢の変化で気が滅入ることが多い中、季節の風物詩を見ると心がほっとします。時々、神戸に関するツイートをすると結構な勢いで拡散されるので本当に『神戸ならではの文脈』みたいなものがあるんだなと感じます。あと、神戸新聞だけじゃなくて『サンテレビさんの夕方のニュースでも見かける』という方が多くて『そうそう!』と共感しました(笑)」
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イラストレーターとして活動を続けるこもりさん。これまでにも神戸を舞台にした作品を数多く発表しています。こもりさんが「イカナゴ、松蔭衣替え、有馬の紅葉、六甲山小のストーブ火入れ」を描くとどんな作品になるのでしょうか。今後、創作の予定は?
「今回のインタビューを通して、イカナゴ以外のイラストを描いたことがなかったことに気が付きましたので、ぜひとも描いてみたいなと思いました。他の『神戸あるある』もあわせて、簡単なカットの形で描いてみたいです」(こもりあやみさん)