人間大好きなゾウとクマ、コロナ禍で誰もいないと寂しすぎて「かまって、かまって」! 神戸・王子動物園

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う動物園や水族館の休園が長期化し、各地で「動物や魚が人を忘れる」なんて事態も生じ、すみだ水族館(東京都)のチンアナゴ向け“人間ライブ放送”も話題になりました。本来なら春休みにGWと全国各地の動物園水族館を何日かかけて巡る「遠征」に出るファンも続出(筆者もその1人ですが)するのに、それどころか常連客も現れず、飼育員だけの状況に、人が好きで仕方がない動物たちの中には寂しさを募らせる子も少なくないようです。

 神戸市立王子動物園では3月初めから屋内施設を閉鎖し、4月7日の緊急事態宣言以降は閉園し、1カ月以上、人間がほとんどいない状況が続いています。

 普段から「寂しがり屋」と言われているアジアゾウのマック(27歳)。スイスの動物園で生まれ、3歳になる前に王子動物園にやってきましたが、ずっと人間に囲まれて育ったこともあってか、とても人間が大好き。部屋に入る時間、飼育員さんが近くにきて話しかける時、トレーニングでは返事として、いつも短く「パオッ」と鳴き、メスのズゼと違ってお客さんに鼻を伸ばすことも多いのですが、マックの近くで飼育員さんとお客さんや作業の人が話し込むと、鼻から砂をブシュッと飛ばすことも。ほんとに寂しがり屋のかまってちゃんなのですが、お客さんの姿も消え、今では飼育員以外の職員が通りがかっても、構って欲しそうに見つめてくるのだそう。

 さらに、「ウマグマ」とも言われるとてもめずらしいクマ、チベットヒグマのマー(メス、30歳)は、普段からガラス面近くでまったりして過ごし、人を集めたところで「バンっ!」とガラス越しにどつくのが“趣味”。何かされて怒っているわけではないのですが、その様子に大人も怖がったり面白がったり。泣き出す子ども多いですが、それ見てまた大人大笑い…という人気者ですが、彼女もまたどつく相手を失い、どつける職員を探しているのか、広報担当者からも「マーさんには先日どつかれました!」との“被害申告”も。

 一方、来園後、なかなか展示場に出られず「幻」とまで言われていたアムールトラのレーニャ(メス、3歳)はというと、「閉園前までは、ガラスのすぐ近くによく出てくるようになっていたのですが、最近はまたこもりがちですね」とも。これはレーニャにもすみだ水族館のチンアナゴのように“人間ライブ動画”が必要かも??

 ちなみに、他の動物たちはというと…

・ジャイアントパンダのタンタン=いつも以上にのんびりしている

・コアラ=子どもたちが今までの子に比べ、活発

・ロバ=人が好きなのでさみしそう

・アシカ=4頭いるうち一番若いスミレちゃんは人が恋しい

・オランウータンのムム=暇そう(いつもお客さんと遊ぶので)

・チンパンジー=暇そう、夕方の餌を食べにいつもより早く帰ってくるようになった

・ペンギン=たまに人が通るとびっくりする

・ワニ=たまに人が通るとこちらを見るようになって、目が合うようになった

だそう。実際にその姿は見えなくても想像するだけで楽しくなるようですが、「自粛疲れ」「自粛うつ」っぽい心を癒やすにはやっぱり動物かも。そんなこんなの動物園ですが、基本的にゆったりした時間が流れる中、広報担当者だけは「メディアの取材が以前より急増していて大忙し」なのだとか。“日常”が恋しいのは、人間も動物も同じですね。

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