「この家では産めない」18歳でホームレス妊婦に…支援受けられず公園で過ごした日々 コロナ禍の今伝えたいこと

広畑 千春 広畑 千春

 晴れて「母」と「子」として、ゆかさんは母子寮に入所した。生後2カ月で息子を認可外保育園に預けて派遣や事務の仕事を始めた。朝7時に出て夜7―8時頃に帰宅し、息子を寝かしつけた後、パソコンを開いて内職をする。食事はまかないやコンビニの廃棄弁当などで節約し「息子と、自分の貯金ですね。あと免許も取りたいので…」と話す。

 そんな中、望まない妊娠や子どもが育てられず悩む女性のための24時間相談窓口「小さないのちのドア」(神戸市北区)を知り、寄付を申し出た。「将来、私のような『特定妊婦』を助けるために働きたいと思っていたんです。窓口の助産師さんは私の話も聞いてくれて、大変だったね、頑張ったねって…。そんな風に親身になってもらえたのは初めてだった」とゆかさん。今も生活費を切り詰め、毎月送金を続ける。

 実家にも顔を出せるようになり、ある日、父親から声を掛けられた。「話しかけられたこと自体、5、6年ぶり。えっ?私に??って驚きました。でも、うれしかった。私のことは親族にも誰にも話してなかったらしいけど、母には時々『あいつはどうしてるんや』と聞いていたそうです」と笑う。今では、息子もかわいがってくれるという。

 「小さないのちのドア」では、今、ゆかさんのように行き場をなくした女性らが安心して過ごせる「マタニティー・ホーム」の建設に向け、クラウドファンディングで寄付を募っており、ゆかさんも早速申し込んだ。「コロナ騒動で『ネットカフェ難民』も生まれていると聞きます。私と子どもは幸い無事だったけれど、何が起きてもおかしくなかった。『家に帰ればいい』というけれど、いろんな事情で帰れない子も沢山いるんだと分かってほしい。居場所がもっとあってほしい。もう誰にも私のような思いはさせたくないんです」

 「マタニティー・ホーム」のクラウドファンディングサイトはこちら→https://readyfor.jp/projects/inoti-door3

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース