社会人野球でもプロや独立リーグで大事にしてきた指導者としての理念は変わらない。「コーチングとはお互いを信じること。指導者は選手を信じ、選手も指導者を信じることが大切。しっかりとコミュニケーションを取りながらチーム作りを進めたい。セガサミーはレベルの高い選手が多く、野球への取り組み方も思った以上にしっかりしている。プロを目指す若い選手には上でも通用する技術を教えていきたい」。
創部15周年を迎えたセガサミーは、これまで都市対抗に10度出場し最高はベスト4、4度出場の日本選手権では準優勝の実績を持つが、昨季は両大会とも出場できなかった。再建を託された指揮官は「自分は高校、大学、プロと優勝してきた。セガサミーでも都市対抗で優勝できるように、これまで培った経験を生かしていきたい」と表情を引き締めた。
「セガサミーは素晴らしい球場とクラブハウスを完備し、選手はとても恵まれた環境で野球ができる。我々ができる恩返しは応援してくれる会社や社員が元気になるような試合をすること」。広島に自宅を残しての単身生活。新型コロナウイルスでの影響で今年の日本選手権が中止になるなど今後の大会開催も不透明な部分は多いが、西田監督は持ち前のポジティブシンキングでチーム強化に情熱を注ぐ。
PL学園ではエース兼4番で高3夏に全国優勝。法大を経て83年にドラフト1位でカープに入団した。「男はつらいよ」のフーテンの寅さんから名付けられた「トラ」の愛称でファンやチームメートから愛された。
「カープは知恵と創意工夫で選手を育てていくチーム。指導者としての礎を築いてくれたのがカープであり、今の自分があるのはカープのおかげ」と感謝する。
今季、V奪回を目指すカープは佐々岡新監督が就任。「同じ釜の飯を食った佐々岡監督がどんな野球をするのか注目している。法大の後輩の宇草(ドラフト2位)も入団したので、とても楽しみ」とエールを送った。
(まいどなニュース/デイリースポーツ・工藤 直樹)
◆西田 真二(にしだ・しんじ) 1960年8月3日生まれ。和歌山市出身。現役時代は左投げ左打ちの外野手。174センチ、82キロ。背番号28。小学3年から野球を始め、PL学園ではエースで4番を務め、3年春にセンバツ8強、同年夏は全国制覇を果たした。法大で外野手に転向し、82年のドラフト会議で広島に1位入団。通算777試合に出場。402安打、44本塁打、226打点、打率・285。95年に引退し、05年から四国アイランドリーグの愛媛、香川で監督を務めた。