現役時代は広島カープの4番を務めるなど勝負強い打撃で活躍し、引退後は独立リーグの指導者として実績を残してきた西田真二さん(59)。今年1月に社会人野球、セガサミーの監督に就任し、新たな挑戦をスタートさせた。
東京・八王子にあるセガサミー球場。西田監督は毎日、グラウンドに出てバッティング投手を務める。黙々と球を投げ続けること約40分。今年60歳を迎えるとは思えないほど元気だ。「打者の状態を見るには、実際に自分が投げるのが一番よく分かるからね。独立リーグでも、ずっとやってきたから全然問題ないよ」と心地良さそうに汗をぬぐった。
明るい性格はカープ時代と変わらない。豪放磊落(らいらく)に見えるが、それでいて選手一人一人に目を配り、細やかな気配りも欠かさない。川上哲矢マネジャー(34)は「西田監督が来られて、チームの雰囲気がすごく明るくなった。気さくな方なので選手たちもやりやすい環境だと思います」と話す。
カープ時代は1年目に4連続代打本塁打のリーグタイ記録をマークするなど代打の切り札として活躍。リーグ優勝した91年には4番も務めた。95年に引退し、野球解説者や打撃コーチなどを経て、05年に四国アイランドリーグの愛媛監督に就任。07年から13年間、指揮した香川では5度のリーグ総合優勝、3度の日本一に輝き、NPBには26選手を送り込んだ。昨季限りで退任し、次に選んだのが社会人野球の監督だ。
「この年になって声をかけてもらい、新たな世界でやれるのはありがたいこと」。関東地区では、西田監督が法大時代にチームメートだったり、対戦した選手が社会人や大学の指導者を務めているケースも多い。「母校(法大)ともオープンで戦えてうれしかった。大学の時以来の東京なので、新鮮な気持ちでやれている」。公式戦初采配となった3月26日のJABA東京都企業春季大会・東京ガス戦は6-2で勝利し、初陣を飾った。