福島県の山中に遺棄された2匹の子犬は、個人ボランティアのもとにいた。Facebookで里親募集の投稿を見た松根さんは、先代の犬にそっくりだったまめちゃんの里親になる決意をした。まめちゃんは、先代の犬の命日に松根さんのところにやってきた。
山中に遺棄された子犬たち
ミックス犬のまめちゃんは、兄弟と一緒に福島県の山中に遺棄された。生後半年くらい、大きさや見た目が瓜二つだったので、血がつながっていると考えられた。保健所に捕獲されたが、2015年3月23日、福島県に住む個人ボランティアが2匹を引き出したという。
神奈川県に住む松根さんは、2013年6月26日に愛犬を亡くした。だが、すぐに新しい犬を飼おうと思っていたわけではなかった。
「Facebookを見ていた時、まめちゃんが里親を募集している投稿が目に留まったのですが、先代の犬にそっくりだったんです。まるで生まれ変わりのようで、里親になりたいと思いました」
震災がつないだ縁
当時、まめちゃんは福島県にいたが、静岡県のボランティアが遠路はるばるまめちゃんを迎えに行ってくれた。2011年3月、東日本大震災が起こった時に、静岡県から福島県にボランティアに行ったのだが、その時、福島県のボランティアと知り合ったのだという。震災ボランティアの縁が、まめちゃんと松根さんをつないだのだ。まめちゃんの兄弟犬も、無事、静岡県内に住む人に譲渡された。
6月26日、松根さんとまめちゃんはお見合いし、2週間のトライアルが始まった。その日は、たまたま先代の犬の命日だったのだが、松根さんは「やっぱり生まれ変わりはいるのだ」と思ったそうだ。
まめちゃんは、ボランティアの人が帰っても平気で、すぐに松根さんの足の間に入って眠った。ご主人にもすぐに懐いたが、なぜか家族以外の人は怖がって、尻尾が下がってしまう。
自分のことを猫だと思っているかも
松根さんは猫を4匹飼っているが、猫がけんかを始めると、猫と猫の間に入ってワンワンと吠えて仲裁に入る。不思議なことに、たったそれだけのことで猫はケンカをやめて大人しくなるという。
「まめと猫は最初から仲良しで、大きくなるまでは一緒にじゃれて遊んでいました。まめは自分のことを猫だと思っているのかもしれません。身体の大きさが違うので、追いかけっこはしませんが、お互いグルーミングはし合っています」
松根さんは、「猫と犬は月と太陽のようだ」と言う。
「犬は存在感があるでしょう。音が違うんです。犬は歩くと音がしますが、猫は歩いていても静かなんです。ごはんをちょうだいというアピールもまめのほうがすごいんです。犬がいると楽しくなる、一方、猫は静かな喜びという感じです」