バリ島に住む加納さんは、熱心に犬の保護活動をしていて、自身も保護犬を多頭飼いしている。ある日、加納さん宅の駐車場に子犬が3匹捨てられていた。なかなか譲渡先が決まらなかったまめちゃんは、加納さんが飼うことになった。
駐車場に捨てられていた子犬たち
2017年8月、まめちゃんは、きょうだいと一緒に加納さん宅の駐車場に捨てられていた。生後2カ月くらいだった。
加納さんが日本に一時帰国している時、ご主人から夜中に突然、8匹の犬がリビングを占拠している動画が送られてきた。当時、4匹の保護犬と暮らしていたのだが、一気に8匹になった動画を見て、加納さんは「嘘でしょ!?」と大笑いした。
ご主人によると、真夜中、みんなが寝静まった頃、リーダー犬はなちゃんが、やおら起き上がり、駐車場のほうを見てワンワン吠えだした。何事かと思い、外に出てみると、3匹の子犬が車の下でもぞもぞと動いていたという。2匹の子犬は比較的簡単に捕まえることができたが、後に加納さんが迎えたまめちゃんは、とても怖がって、車の下からなかなか出てこなかった。
「バリ島では犬にリードをつけて散歩する人は珍しく、普段、私たちが4匹の犬にリードをつけて散歩させていると、近所の人に声をかけられることもしばしばありました。おそらく、私たちが犬好きだと知って、家を特定、故意に駐車場に置き去りにしたのでしょう」
譲渡先が決まらなかったまめちゃん
豆粒のように小さな犬だったので、ご主人は、黒色の子を黒豆ちゃん、黒と白の斑模様の子を黒白豆、茶色と白の斑模様の子を茶豆と名付けた。
ご主人は、仕事をする傍ら8匹の犬の世話に追われた。会社の同僚たちに「里親にならないか」と声をかけると、すぐに1人が茶豆ちゃんに興味を持ち、譲渡スケジュールを打ち合わせた。残る2匹も他の人が里親になってくれた。
ただ、茶豆ちゃんの譲渡がなかなかスムーズに進まず、譲渡予定だった人が次第に手を引いてしまった。次に茶豆ちゃんに声をかけてくれた人とも縁がなかった。
ドスコイ犬になった
里親さんを探しながら、四六時中茶豆ちゃんと過ごした加納さん。いつしか茶豆ちゃんは離れがたい存在になっていった。加納さんは、茶豆ちゃんを我が子として迎える決心をした。加納家の犬の名前は代々2文字なので、名前は茶豆ちゃんから「まめちゃん」になった。
豆粒のように小さかったのは子犬のうちだけで、まめちゃんは食欲旺盛、あっという間に「ドスコイ!」という言葉が似合うぽっちゃりした犬になった。
臆病だったまめちゃんだが、お兄さん犬やお姉さん犬に囲まれて暮らし、たくさん遊んでもらううちに、どんどんたくましくなっていった。自分が先住犬に優しくしてもらったので、加納さんが新しく迎えた保護犬や子犬にも優しく接してくれるという。