“絶滅危惧”に光を…天王寺動物園のホッキョクグマが熱愛中、アイスキャンデーで有名な大阪の会社が寄贈

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 というのも、ホッキョクグマの飼育下での繁殖は至難の業。野生では3~5月の繁殖シーズン以外はオスメス共に単独行動をしており、メスは出産前から子どもが大きくなるまで3~4カ月も暗い巣穴の中で絶食状態で過ごします。ですが動物園でそのタイミングを逃さず環境を整えるのは大変。死産も多く、出産に至っても数日で死亡してしまうケースも少なくなく、無事に育つ例は2割程度とも。さらに、鳴き声などで出産が確認されても、いつの間にか子どもが消えてしまう=親に食べられてしまう「食害」も。子どもに問題があり育つ可能性が低いと母親が判断するからと言われますが、それも北極圏の厳しい自然に生きる動物ゆえなのでしょう。

 そんなこんなで、日本で現在飼育されているホッキョクグマは38頭。高齢個体が多く、ここ20年で約4割も減ってしまいました。このため2011年に「日本動物園水族館協会(JAZA)」による「ホッキョクグマ繁殖プロジェクト」がスタート。飼育施設間で積極的に個体の移動が行われ、その成果も含め2012年に3頭、2013年は1頭、2014年に2頭が誕生。その子が成長してカップリングに挑戦…という動きも出ています。

 北海道の「釧路市動物園」のミルクもその1頭。担当の大場さんは「ミルクは当園開園当初のホッキョクグマペアの孫にあたる個体。是が非でもこの血筋を残したい」。一方、「姫路市立動物園」から秋田県の「男鹿水族館GAO」にお嫁入りしたユキは今年が2シーズン目。担当の田口さんは、「ユキは姫路で2回出産を経験しています。そのときは交尾が遅めで5月だったので、今回の同居開始も遅めにしようと思います」と作戦を練ります。ほかにも繁殖が期待されるカップルが複数おり、「今年こそ」の期待は大きいのです。

 そんな中でも、とても順調に見える「天王寺動物園」のゴーゴとイッちゃん。担当の通称ケンさんはホッとした様子ながらも、「交尾確認は最初のステップ。今後は夏のダメージを少なくし、秋からは体重を増やし、出産・子育てができる体づくりをします」。前任者のジャックさん(同)も「野生のスケジュールに合わせた環境づくりが大切。オスの気配を消し、静かな環境を来園者の協力も得て園全体でつくっていきたい」と話します。

 ところで…ふと気になったことが。「551」のゴーゴとイっちゃんから生まれた子グマは一体なんて名前になるのでしょう? 前出の蓬莱の広報担当者は「551からのゴーゴくんとイッちゃんの子どもなので、ほうちゃんとらいちゃんでほうらいちゃんとかいいですね!」。でも、三つ子だったら?? 空想にふけりながら1年後を静かに、静かに待ちます!

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