新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各地の動物園でも臨時休園や屋内展示中止などの対応が続いています。そんななか…つい先日まで臨時休園していた「天王寺動物園」(大阪市天王寺区)では、静まり返った園内で明らかに「熱い」場所が。ホッキョクグマのカップルが初めての繁殖シーズンを迎えているのです。野生のホッキョクグマは温暖化の影響で絶滅の危険にさらされていますが、実は動物園でも「絶滅危惧種」。国内の飼育頭数はここ20年で4割近く数を減らしているのです。
期待のかかる天王寺動物園の2頭はゴーゴ(15歳、オス)とイッちゃん(6歳メス)。3月某日、お邪魔したところ、200キロ、300キロを優に超える白い巨体が、大きく口を開け、頬寄せ合ってはガウガウ。プールで遊んだり、同じポーズで休んでみたり。素知らぬフリをしながらも視線の端では常に相手の姿をチラ見。ずばり、イイ感じです。ところで、この2頭の名前、少し不思議なのですが、続けて読んでみてください。関西地方にお住まいの方ならもう分かるはず。「あるとき~♪ ないとき…」。ホラ、ね。
実はこの2頭、豚まんやアイスキャンデーで知られる「551(ゴーゴーイチ)の蓬莱」こと蓬莱(本社・大阪市浪速区)からのプレゼントなんです。なんて太っ腹!ということで聞いてみました。
―なぜホッキョクグマを?
「弊社のアイスキャンデーのキャラクターがシロクマなんです。アイスキャンデーは1954年から販売し、シロクマとブルーのストライプのマークは1957年5月ごろから使っています。寒い地域で暮らすホッキョクグマを見ると、お客様も冷たいものをイメージしやすいから…という思いからです」
―にしても、どどーんと2頭も!
「ホッキョクグマが来てくれたら、大阪のみなさんが喜んでくれるかな、という思いで贈らせて頂きました。2006年にゴーゴ君、2015年にはお嫁さんにとイッちゃんに、それぞれロシアの動物園から来てもらいました」
―イイ感じだそうですね。
「はい、動物園からはそんな感じのご報告を頂いています!」
と、こちらでも楽しみにしている様子です。
そんな盛り上がりを知ってか知らずか、今年2月下旬に初めての同居をスタートさせた2頭は、いきなりラブラブ全開に。気が合わなければ流血の事態もあったのですが、それも杞憂と終わり、ヒトがコロナ禍で巣ごもりした臨時休園中もさらに愛を深め、交尾は何度も確認されているそうです。うまくいけば年末年始頃には出産の有無が明らかになり、無事に育てば春にはかわいい子グマが見られる「かも!」なのです。