イオン従業員「いまはマスク着用オーケーです」 昨年末、原則禁止のお達しも…新型コロナの影響で

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルスの拡大が不安視されるなか、百貨店などで従業員がマスクを着用する動きが広がっている。昨年末、接客時に円滑なコミュニケーションの妨げになると従業員にマスク着用を「原則禁止」にしたとして議論が巻き起こった大手スーパーのイオン株式会社(本社・千葉市)も予防の観点から「OK」の方針を出した。総合スーパー約500店舗をはじめスーパー、ドラッグストアで働く約58万人に「原則禁止」の“お達し”を出したのだが、その趣旨について取材をすると「そもそも『禁止』という言葉がひとり歩きしてしまって…」と同社。「当時からあくまで“原則”で、花粉症や風邪などマスクが必要な場合はOKでした」とし、“禁止”方針を“撤回した”わけではないと強調する。

 マスク着用OKとなったイオン、実店舗の着用率はどうか。普段から中国人観光客も多く利用している関西のある店舗では、フロア内にいた従業員の18人中12人がマスクをしていた、6割以上の着用率だった。マスクをしたレジ係の女性に聞いたところ「普段はマスクを着用していません。中国のアレ(新型コロナウイルス)が流行っていますから、今は(本部から)オーケーが出ているので、マスクをつけています」という肉声が返ってきた。

 同社に尋ねると「新型コロナウイルスの問題もありますし、インフルエンザの季節でもありますので、エチケットというよりも予防、衛生管理の一環として認めております」との返答が。担当者によると、問題視された「原則禁止」の通達は、「主に衣料品などの部門の従業員を想定し、クリスマスから年末にかけ、一年で最もお客様の数が多くなり、いろんなお客様がいらっしゃる中、マスクを着けてではなく『笑顔で接客をして欲しい』という、いわば『身だしなみ』としての意味合いが強かった」のだという。

 ただ、通達の内容が「原則禁止」であったことに加え、「現場の方々に適用外などについても丁寧に説明をする時間がなく、店によっては通知を張り出して終わったところもあり、全面禁止というトーンで伝わってしまった」と説明する。その後、テレビやネットニュース、SNSなどで「接客時のマスク着用の是非」について議論が沸騰。同社にも多くの批判や苦情が寄せられた。

 「もともと食品加工に従事する従業員は法律上の義務でマスクを着用しております。その他の従業員がマスクをしていれば責任者らと『どうしたの?』『風邪気味で』『家に受験生がいるので』などとコミュニケーションを取る。それが健康管理にもつながりますし、決して申請→許可というわけではないんです」と担当者。「インバウンドのお客様が多い店もあり、身だしなみを前提として、より一層、従業員の状況の確認、健康管理につとめてまいりたい」とした。

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