新しい観光列車は、角張った「顔」だけど、カジュアルでくつろげる-。JR西日本はこのほど、今年5月から運行する「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」を公開した。往年の「ブルートレイン」をほうふつとさせる外見ながら、決まった座席のない「フリースペース」を車両に取り入れたり、ベッドのように横たわれる座席を設たりと、鉄道旅行をゆったり楽しめる仕様となっている。
ウエストエクスプレス銀河は、通勤電車として使用された117系電車を改造した。2020年5~9月は、下りで京都から出雲市へ、上りで出雲市から大阪へと向かう夜行列車となる。一方、同年10月から21年3月までは、大阪と下関を往復する昼の特急電車となる。いずれも週2往復程度の運行を予定する。
6両編成のうち、目玉は4号車。1両丸ごと「フリースペース」となっており、他の5両の指定席券を持っている人なら、だれでも利用できる。人の腰の高さほどのカウンターがあるほか、4人掛けのボックス席が四つある。さらに、ボックス席の机の一部は裏返すと将棋盤や碁盤、チェス盤になる仕掛けがある。
ただし、車内販売や自動販売機がないので、あらかじめ買って持ち込むか、長めに停車する駅で調達するかしないといけない。
もう一つの注目点は女性専用となっている2号車だ。一見したところ、普通の特急電車などと変わりはないが、前の座席との間隔は120センチで新幹線のグリーン車並みの広さ。さらに、リクライニングは27度まで倒せるので夜行の際も休める。さらに、2号車には2段ベット状の「ノビノビ座席」があり、幅70センチ、奥行き190センチで横になることもできる。女性用更衣室も2室ある。
ほかの車両を見ていこう。1号車はグリーン車だ。向かい合った座席は、夜行の時に1人分のベッドとなる。さらにグリーン車の乗客用のラウンジもある。
3号車は普通車指定席だが、2号車同様にゆったりした座席やノビノビ座席、フリースペースがある。さらに3畳ほどの広さの「ファミリーキャビン」もある。5号車はノビノビ座席を18人分備える。6号車は横にもなれるグリーン個室が5室あるほか、フリースペースも設けている。
デザインを担当した川西康之さんは「この電車では最長12時間ほどを過ごす人も出てくる。ウエストエクスプレス銀河の『ごちそう』はなんと言っても車窓から見える景色。車内の随所にあるフリースペースを巡って楽しんでほしい」と話す。
料金は乗車券や指定席券を含め京都-出雲市の場合、グリーン個室が1万8560円、グリーン指定席1万5510円、普通車指定席1万640円、大阪-出雲市はグリーン個室が1万6480円、グリーン車指定席1万3430円、普通車指定席9770円となる見込み。