これで私も「遮光器土偶」になれる!…縄文への愛あふれる手編みニット帽が話題 制作経緯を聞いた

山本 明 山本 明

土偶の結髪部分をキュートに再現したニット帽が、ネットで人気です。職人さんが一つ一つ、編み上げたものだといいます。その超絶技巧にツィッター上には「天才か」「センスありすぎる」「俺も土偶になってみたい」などの突き抜けたコメントが続々集結しています。こちらは青森県・小牧野遺跡の展示施設「縄文の学び舎・小牧野館」が先月末に売りだしたもの。しかも、これは「遮光器土偶シリーズの第3弾です」だというのです。ということは先行弾もあるんですね…?同グッズの担当者に詳しいお話を聞くと、縄文愛あふれる答えが返ってきました。

「遮光器土偶」とは大きな双眼を持つ、縄文時代に作られた土偶のこと。恐らく皆さんも一度は、教科書などでご覧になったことがおありでしょう。名前の由来はこの眼球部分が、イヌイットなどが雪原を行く際、照り返しから目を保護するために装着する遮光器に似ていることから来ています。

同館の公式フェイスブックが1月25日に、こちらの頭頂部を模した職人手編みのニット帽を限定5点で販売すると掲載したところ、SNSで瞬く間に拡散し、29日午前中には完売。その後は受注生産する予定でしたが、注文が殺到。今後の生産の目処が立たなくなったといい、31日午前には「納期も1年以上お待たせするような状況に陥っておりますので、いったん販売を中止とさせていただきます」と告知が出るまでになりました。

なぜそんなに人気を集めたのでしょうか。皆そんなに土偶になりたいのでしょうか…? 同館の担当者、後藤公司さんに制作に至る経緯を聞きました。

―こちらのグッズは第3弾ということですが…。

「はい、2019年1月に遮光器土偶Tシャツ、同年春に遮光器土偶メガネ発売、翌20年1月25日、遮光器土偶ニット帽を発売した、という流れになります」

―なぜそんなにも土偶推し…?

「元々遮光器土偶推しでした。縄文業界で様々な事業をしている中で、遮光器土偶の人気を垣間見ることが多かったんですが、遮光器土偶グッズが少ないことを不思議に思っておりました。そこでこの際、うちで商品開発をしてしまおう!と考え、欲しいものを考えたのがきっかけです」

―熟練の職人さんの手作りだそうですが。1点作るのに必要な時間はどのくらいですか。

「細部にこだわり、4度の試作をして完成に至りました。編む技術は職人の腕ですが、模様や遮光器土偶メガネを横に刺し込むループなど、様々なところにこだわった逸品です。職人いわく、1つ作るのに基本5~7日かかるそうです」

「なお、いろいろな編み物作家さんに制作依頼のお伺いを立てましたが、多くの方が難しいと断られるなか、今回の職人さんだけが、自ら試作提案をしてくれました。だからこそ、ほかの職人さんに制作をしてもらう予定はありません。この職人の方だからこその商品だと思います」

―現在は注文が殺到、注文再開は11月の予定だそうですね。最初の5個をゲットできた方はとてもラッキーですよね。

「5個すべて県外の方が購入されました。ご注文やお問い合わせは、南は九州、北は北海道まで国内から幅広くいただいています」

「皆さん対応も非常に優しく、『何時まででも待ちます♪』という心の広いお返事をいただいたり、『注文が殺到して対応が大変だと思いますが…』といったお気遣いまでいただいております。そういった皆様の人間性のすばらしさに、戦争も無く平和で、いろいろな人間が大地や海の恵み、自然と共存していた縄文人のようなイメージを持ちました。縄文の大切な心を持っている方々に気に入っていただけて本望です」

―大きな縄文愛を感じますね。では当然、これでラストではなくて、第4弾も…?

「第4弾はヒ・ミ・ツです♪。まずは、まだ在庫のあります『遮光器土偶メガネ』を是非気に入っていただけると嬉しいです」

商品の詳細は、同館の公式Facebookまで。

■国史跡 小牧野遺跡 / 縄文の学び舎・小牧野館 https://www.facebook.com/komakinosite/

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