私は発達に関する相談・レッスン教室を運営しているのですが、言葉の発達に関するお悩みはとても多いご相談の一つです。
言葉は大人が一方的に教えればよいというものではなく、「言葉が学べる環境を整えてあげた上で、お子さん自身が自分の力で学んでいくのを待つ」ということが大切です。
言葉を引き出すために、お家でもできる簡単な取り組みが「絵本を読む(読んであげる)」ことです。けれど、「どの絵本にすればいいのか迷ってしまう」と絵本選びに悩まれている方も多いと思います。
そこで今回は、お子さんの言葉の発達段階に合った絵本の選び方と活用方法についてご紹介します。
◆言葉がまだでていないが意味は分かっている時期
まだ言葉が出ていなくても大人のいうことが伝わっている場合は、まずは読み聞かせの中で、いろいろな言葉に触れる機会を作ってあげましょう。
この時期には擬音語のフレーズが繰り返し使われている絵本がよいでしょう。口やその周辺の筋肉や動きが未熟だと、まだ言葉をうまく真似することは難しいですが、擬音語なら真似しやすいため、発声や発音につながりやすいですよ。
「じゃあじゃあびりびり」「もこもこもこ」「ごぶごぶ ごぼごぼ」などの絵本は、リズミカルで覚えやすい擬音語で構成された内容ですので、耳から聞いた音(言葉)を自然に真似しやすいでしょう。
◆言葉が出始めたばかりの時期
言葉を覚えていく過程で、何より大切なことがあります。それは「伝えたい!」という気持ち。その思いがあるからこそ、伝える手段としての言葉が育っていきます。言葉は出始めたけれど、まだおしゃべりが少ないようなら「伝えたい!」という気持ちがまだ十分に育っていないのかもしれません。このような時期には、絵本を使って伝えたい気持ちを養っていってあげましょう。
「だるまさん(シリーズ)」や「がたんごとん がたんごとん」「 コロちゃんはどこ?」のように「読み手が決まったフレーズを投げかけると、それに応じたフレーズを返す」といったパターン的なやりとりが含まれている絵本がおすすめです。
読み聞かせるばかりではなく、お子さんも思わずいいたくなるような体験型の絵本を選んでみるのも良いでしょう。読んであげる時のポイントは、お子さんが声を発しやすいように大人が少し間を開けて待ってあげるとより効果的でしょう。
◆どんどん言葉が増え始め、会話もでき始めている
言葉を発するようになると、言葉を発することで周りの人から反応が返ってくることが楽しくなってきます。新しく覚えた言葉をどんどん使って、相手がどんな反応をするか、試したくなるのです。
「おおきなかぶ」「そら はだかんぼ」「もりのおふろ」などの絵本は、ストーリー性のある絵本なので、登場人物のやりとりを真似したり、表情や気持ちに興味を持てるようになります。また、絵本を読んだ後にその内容に関する質問をして遊ぶのもよいでしょう。
「この時○○ちゃんは、どんなきもちだったんだろう?」
「どうして○○したんだろうね」などの質問に答えさせることで、自分の考えをまとめて話す練習になります。