猫の出産に偶然立ち会う 1匹の猫との出会いで保護猫三昧の暮らしが始まる

渡辺 陽 渡辺 陽

まだ家の中で猫を完全室内飼いをする人が珍しかった時代。広島県に住む清水さんは、経営する店の事務所と外を行き来するシロちゃんという猫に出会う。その猫の出産に偶然立ち会うことになり、孫も飼うことになるが、シロちゃんとの出会いをきっかけに清水さんは、たくさんの保護猫と暮らすことになった。

 

猫と戯れ、育った幼少期

広島県に住む清水さんは、子供の頃から猫と遊んでいた。「名犬ラッシー」が人気だった時代で、清水さんの家でもコリーを飼っていた。しかし、幼い清水さんが一人でコリーをなでようとすると吠えられた。犬が怖くなった清水さんは、家の中で猫と遊ぶようになり、以来、猫好きになったという。

20年くらい前、実家には常に猫がいたが、1匹もいなくなった時にシロちゃんという外猫にごはんを与えるようになった。当時は、完全室内飼いが浸透しておらず、猫は家の中と外を自由に行き来し、野良猫もたくさんいた。シロちゃんの他にも白黒の猫が1匹いて、その猫にシロちゃんはついて歩いていた。いつの間にか白黒の猫がいなくなり、シロちゃんだけが朝晩ごはんを食べにくるようになった。当時、シロちゃんは生後6か月~7か月だった。

偶然、猫の出産に立ち会う

半年後、清水さんが夜11時くらいに会社の倉庫に戻ってきて自転車を停めようとすると、ちょうどシロちゃんが子猫を出産しているのを発見した。まさに1匹目を産もうとしているところだった。清水さんが見守っていると、シロちゃんは1匹産むごとに、子猫を舐めてきれいにしてあげていた。清水さんは、シロちゃんのお腹をさすってあげた。

「猫が何匹産むのか分からず、『あんた、何匹産むの?』と尋ねたんです。4匹目を産むとぼくのほうを向いて『にゃん』と言い、それで出産が終わりました」

子猫たちはシロちゃんのお乳を飲んですくすく育った。少し大きくなってきたので、シロちゃんから清水さんにバトンタッチ、離乳食を与えて育てたという。ただ、倉庫が道路に面していたこともあり、2匹の子猫は交通事故で死んでしまった。残る2匹は清水さんの知り合いがもらってくれた。

保護猫三昧生活の始まり

やがて、もらわれていった子猫も成長し、シロちゃんの孫にあたる子猫を産んだ。清水さんが2匹引き取ることになった。今度は、交通事故に遭わないように完全室内飼いすることにした。シロちゃんは、3、4歳になっていた。

おばあちゃんのシロちゃんと2匹の孫は仲良く暮らしていた。清水さんも3匹の猫に囲まれて幸せだった。

しかし、わずか2歳半で、孫の2匹を腎臓病で亡くしてしまった。長年、シロちゃんの成長を見守ってきた清水さんは、1匹になってしまったシロちゃんが「寂しい」と思っているように見えた。清水さんは、シロちゃんのために新たに猫を迎えることにするが、それがきっかけで、清水さんはたくさんの保護猫を事務所で飼い、猫三昧ライフを満喫することになる。シロちゃんは、2017年2月、清水さんに看取られて18歳で亡くなるまで懸命に猫生を送った。

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